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「サンタフェ」が児童ポルノにあたるという与党案提出者の発言に驚き、この間、単純所持規制や3号ポルノの定義などの問題点を指摘し、児童ポルノ禁止法の与党改正案の危険性を訴えてきた。もうひとつ忘れてはならないのが、日本ユニセフ協会などが実在の被害者の存在しないマンガ・アニメ・ゲームなどの創作物も「準児童ポルノ」として規制せよと訴え、これに呼応して与党案に「児童ポルノに類する漫画等の規制及びインターネットによる閲覧の制限については、この法律の施行後三年を目途として、前項に規定する調査研究及び技術の開発の状況等を勘案しつつ検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとする」という付則がもられていたことだ。

 児童ポルノ禁止法は、現実に行われている性的搾取や性的虐待から子どもを守るのが、本来の趣旨である。にもかかわらず、妄想や空想、想像を表現した創作物を規制対象とするのは納得がいかない。1999年に児童ポルノ禁止法が施行された際には、宮本武蔵を主人公にして当時ミリオンセラーになっていた青年マンガの「バガボンド」に、17歳の時の性交場面があるという理由で販売を自粛した書店まで現れたそうだ。児童ポルノ禁止法の曖昧さは当時から指摘されてきたことが、与党案の付則の通り、3年後に創作物さえ児童ポルノとして扱われるようなことになれば、マンガ・アニメ・ゲームなどで培われてきた表現活動は萎縮し、それら創作物を享受してきた読者らへの影響も甚大だろう。単純所持規制が行われてしまえば数百万人の「犯罪者」まで生まれてしまう。

 子どもの権利の実現のためにアジアを中心に救援活動に取り組み、私も日ごろからその活動に敬意を払っている団体から、事務所にファックスが届いた。日本ユニセフ協会の提唱した「なくそう!子どもポルノ」キャンペーンに賛同するとともに、児童ポルノ禁止法の改正を求めるという内容だった。そのなかには、「実在しない子どもが登場する疑似子どもポルノないし準子どもポルノについては、性犯罪との関係を確認するための科学的調査をただちに始め、その結果を踏まえて、適切な法規制を検討すべきと考えます」という見解も含まれていた。非常に残念な内容だ。

 社民党は2006年2月の党大会で「社会民主党宣言」を採択している。自衛隊が「現状、明らかに違憲状態にある」とした部分にばかりマスコミの注目が集まったが、実は、表現の自由の擁護を強く訴えていたことはあまり知られていない。宣言ではこう記している。

(12)あらゆる価値観を保障した創造的文化
 生活を豊かにおくるために不可欠な文化や芸術の分野では、表現の自由やあらゆる価値観が保障されるべきです。また階層、性差、障害の有無などによって、文化や芸術を体験し、創出する権利が損なわれてはなりません。メディアの発展は民主主義の根本にかかわる問題であり、権力や支配層の意思、考え方が一方的に押しつけられることがないように、表現および言論の自由を徹底的に擁護します。

 まもなくはじまる総選挙では、「社会民主党宣言」の実現も訴えていきたい。


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