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国連安保理では全会一致で、北朝鮮問題に対しての決議案が採択された。中国やロシアが「拒否権」を使用することなく、日米が強く主張した「国連憲章7章」部分は落としたもので合意を見たからである。ただ、北朝鮮は「決議を受け入れることは出来ない」と全面拒否の姿勢を示し、安保理の決議は一段落したが「緊張状態」はさらに続いている。ロシアで開かれているサンクトペテルブルク・サミットでも、「北朝鮮ミサイル問題」が議論されることになっている。

まもなく、8月6日と9日がやってくる。日本は、「ヒロシマ・ナガサキ」の被爆の体験から、長い時間をかけて「核廃絶」を国の基本方針として掲げ、他の国に呼びかける歩みを続けてきた。弾道ミサイルは核弾頭と結びつくことで、「核兵器」となる。大量破壊兵器としてのミサイルの脅威を除去するためには、世界的な規模でのミサイル軍縮を日本が先頭を切って呼びかける立場を取ることも出来るはずだが、「敵基地攻撃論」などは正反対の方向へ舵を切ろうという動きである。

核廃絶・非核三原則・専守防衛など、日本政府の原則的立場を変更するのだとしたら、失うものはあまりに大きい。「核武装」「ミサイル配備」「自衛のための先制攻撃」「アメリカの始める戦争と一体化する集団的自衛権の行使」……これらは、自民・民主の多くの議員が語ってきた「憲法9条2項の廃止」「自衛軍の創設」などと符合する。アメリカと密接な関係を持っているが、アジアで孤立する日本が、重武装で軍事大国化していくという方針を取れば、周辺諸国にとっては警戒感が強まるのは当然だろう。

また、「敵基地攻撃論」の研究を始めるということは、日米安保条約・ガイドラインで決められた日米の役割分担も変更することになる。さらに、「敵」という言葉を日本から使用することで、外交・交渉が難しい相手とはいえその「窓口」を閉ざすことにならないか。「日朝交渉」も途絶えている状態だが、仮に6カ国協議に北朝鮮が復帰しても、2国間協議を行うことに高いハードルを置いたことになる。ただの政治家ではなく、政府の閣僚がこうした発言を繰り返したことが残した印象は大きい。一月後にめぐってくる8月15日の「靖国参拝」問題をこのままにしておき、「小泉流」の参拝が行われれば、最悪と言われるアジア外交は瀕死の状態になるのではないか。

日本政府は専守防衛に徹し、核廃絶を掲げ、ミサイル軍縮を東アジアから実現するという理念を表明することは、回り道のようだが「外交の復活」につながる。原則を持てば、ダブルスタンダードはなくなる。

イスラエルのレバノン攻撃は激しさを増している。その国の表玄関である空港を爆撃して空を封鎖し、また海上も軍事力で封鎖。イスラエル兵の拉致に対する対抗措置として、市民を巻き添えにして空爆・殺戮を繰り返すような暴力を許すことは出来ない。日本政府がイスラエルの攻撃に真剣にストップをかけている気配はない。アメリカがこれを擁護し、国連での決議にも拒否権を発動しているからだ。
こちらは、市民が次々と死んでいる。アラブ諸国は反発し、イスラエルは軍事的に先鋭化する。これこそ、放置できない状態ではないか。

2006年の夏。人類が引き返せない「戦争」の時代に突入するかもしれないという危機感を感じている。この時代を生きる私たちひとりひとりの責任は大きい。


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