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 映像ドキュメント『八ッ場ダムはなぜ止まらないか』(43分)が完成した。9月下旬から11月上旬まで、全力投球で制作したDVDだけに、多くの人に見てもらいたい。ブログを読んでくれる人の多くが既存のメディアが提供する情報に物足りなさを感じていることだろう。制作過程で試写をしただけで、「八ッ場ダムの工事がこんなに進んでいるとは思わなかった」と単純素朴に「工事は止まっている」と思い込んでいる人が多数いることが判った。

 まず衝撃写真を公開しよう。付替国道に落石事故があって、しばらくの間「通行禁止」になっていたところだが、10月下旬に片側一車線で通行出来るようになった。しかし、道路上部の山には巨岩も含めて岩がゴロゴロあり、岩に穴を開けてワイヤーを通して山から吊り上げているような応急措置で、見るだけでも不安になる。これだけ地盤脆弱なところにダム建設の工事が進んでいる。




〔付け替え国道に崖から岩が落ちてきて応急処置。片側一車線で開通したものの〕



〔落石の危険のある巨岩にワイヤーで手当て?〕



〔岩がゴロゴロ、何とか留め置きたいが〕


この映像ドキュメントは、八ッ場ダムの現地に漂う「出口なき混迷」を描いている。よく知られるように、八ッ場ダムの最初の計画発表から58年、激しい反対運動を経て住民が受け入れを決めてからも、長期にわたって工事は続き、代替地の造成は遅れてきた。そして、前原前大臣による「建設中止」宣言以来1年、細かな経過は省くが、ダム建設か否かは棚上げにしてダム本体(ダムサイト)を除くダム関連工事をせっせと続けているのが実態だ。



このDVDでは、よく論じられる「治水」「利水」の話はほとんど出てこない。八ッ場ダムの必要性をめぐり重要な前提となる議論だが、治水では戦争直後のカスリーン台風の再来を試算した下流の八斗島付近の「基本高水」の根拠となった流域の「飽和水量」に大きな疑問が提示されている。利水については2003年、群馬県でも尾瀬に近い戸倉ダム(水資源機構)の建設中止を埼玉県・東京都が「水需要がない」と断言していることからも、半世紀前の予測は大きく外れていることが判る。



重視したのは、八ッ場ダムが完成し水を入れてしまえば、地滑りなど新たな災害を引き起こす危険をもたらすという点だ。上流の品木ダムに注ぎ込む年間30tのヒ素が大量に湖底に堆積する土砂が汚染し、湖面から浚渫される汚染された土砂が近くの山に「野積み」されている事実なども紹介した。これは、早急な安全対策が必要だが、いまだに放置されている。



もうひとつ読者の皆さんに御理解いただきたいのは、こうした映像制作を通して、新たな表現空間を作り上げたいという意図についてだ。制作を終えてわかったのは、このDVDを出版社である「ほんの木」の協力を得て、書店に並べようと打診したが、そもそもこうした自主制作の映像ドキュメントというジャンルが大型書店にも存在しないということだ。

NHKを除く民放テレビは企業広告によって成立している。それならば、2000円という価格で市民が1000人購入してくれたら、継続してシリーズ化することも出来る。今回は、最初であることもあって、手間も資金も予想以上にかかったが、日本にマーケットが存在するなら、次へと続けていける。

ぜひ、バナーをクリックしていただいて予約をお願いしたい。現在のところ180本の事前予約を受けているが、1000本までもう少し輪を拡げたい。




〔お知らせ〕

★シンポジウム「八ッ場ダムはどうなるのか」のお知らせ
http://yamba-net.org/modules/news/index.php?page=article&storyid=1027

2010年11月21日午後1時15分より 東京大学弥生講堂にて
地下鉄メトロ南北線「東大前」駅より徒歩1分!



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