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平成26年1月9日(木曜日)、年頭記者会見。動画は、こちらからご覧になれます新しいウィンドウが開きます)。 

 新年おめでとうございます。今日は年頭のため、普段より発表前にご挨拶を少し長くさせていただきます。今年度でいうと9回目の記者会見になりますが、今年もぜひよろしくお願いします。

まず、本年は「午年」で区内には馬といえば「馬事公苑」がございます。1940年、結局開催されなかった東京オリンピックのために、ふるさと区民まつりで活用している「けやき広場」と呼ばれている大きな道ができました。1964年(昭和39年)の東京オリンピックでは馬術の競技に使われました。素晴らしい場所なので、今度の2020年の東京オリンピックでも、使われないのはもったいないと思っています。馬と直接区民が触れ合うことができ、例えば馬車に乗ることができる機会もあります。一昨年の5月、馬車を三軒茶屋の茶沢通りで実験運行いたしまして、親子連れの方が大変並んで喜んでいただきました。そういう意味で、馬がいる町「世田谷区」、しっかり出発していきたいと思います。

20年のビジョンを描いた基本構想が、昨年策定されました。基本構想は、区、そして区民・事業者と共有していく公共的指針ということで、様々なシンポジウム、対話集会、タウンミーティングなどを重ねて作り上げられました。現在は、10年間の行政の上位指針である「基本計画」をまとめているところです。そして、その第一歩となる新しい実施計画をまとめているところでもあり、また、所管部とも「教育ビジョン」「地域保健医療福祉総合計画」まちづくりに関する「都市整備方針」など大きな計画を作成し、4月は全部のスタートラインとなります。

まもなく都知事選挙が始まります。年末年始に、久しぶりに東京問題というのを考えてみました。世田谷区の運営とも関係してきますが、人口減について改めて見直してみました。

厚生労働省の人口動態統計によると、2009年から始まって7万、12万、20万、21万、24万と人口がどんどん減少しています。減り始めてからの合計数はちょうど世田谷区の人口くらいです。国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、2010年の国勢調査にでは1億2805万人という、国勢調査ベースでは過去最高という人口を刻みました。2010年から10年間で何人減るのかと見ていくと、なんと396万人減ります。ちょうど横浜市や静岡県と同じ人口が減っていくことになりますが、すでに、2010年から3年経っており、この間も66万人が減っているので、あと6年経つと330万人も減るのかと思われます。これは非常に大変なことです。これからの推計は、年間に29、35、40、50万という具合で減少し、東京オリンピックが開催される予定の2020年の推計値では、1年間で、約58万人が減っていきます。亡くなる方の方が、生まれる方より少し多いということになるわけです。
 その一方で、世田谷区の人口は増加しています。特に0歳~5歳の子どもは、毎年1000人ずつ増加していて、平成25年の1年間の最新の数字では一昨年同様938人でした。5歳までの子どもがちょうど1000人近く増えていくという、全国的にもほとんどない状況になっています。保育園整備の課題が非常に大きいわけですが、若い世代が世田谷区を選び、移り住んでくれているということを受け止めたいと思います。

 ただ、日本全国人口減の中で、東京だけに人口が集中していき、大都市に集中することで、さらに地方が疲弊していくということが出てくると思います。これは、世田谷区と縁組協定を結んでいる川場村や、その他にも全国の市町村で、ふるさと区民まつりにブースを出していただいたり、世田谷区とお付き合いのある市・町・村約40の自治体でも同じです。都市部と農村部が互いに豊かに交流していこうというコンセプトで、こうした交流都市が増えていきました。世田谷区に集まってきている子どもたちや若い世代など、今年も新成人が増えましたが、これも全国的な傾向とは違います。そうした事を踏まえて、地方と共にどのように豊かにしていけるのかを考える必要があります。

地方が疲弊して、都市部だけが豊かでひとり勝ちという訳にはいかないと思います。ただし、都市部である世田谷区の数字でも深刻なものもあります。世田谷区の65歳以上人口16万5900人のうち、単身世帯は、31%、5万人が1人で暮らしているわけです。複数世帯、高齢者のみ、ご夫婦でお住まいの方が約6万人でして、67%が単身か高齢者ご夫婦だけで暮らしているということになります。複数世帯とはいえ「おじいちゃん、おばあちゃん」と呼ばれて暮らしている方は存外少ないのです。90代のお母さんと70代の娘さんで暮らしている場合もここに含まれています。また、一人暮らしの高齢者の男女別の割合をみると、65歳以上5万人のうち、男性25%、女性75%ですが、75歳以上で見ると3万人で、男性の率が縮み17%、女性83%となります。75歳以上の男性で一人暮らしの方が少ないということが分かります。

 次は、貴重なデータなのですが、平成22年に世田谷区が行った全高齢者実態把握調査では、「日中をどこで過ごしますか」という質問で、「自分の部屋の中」か「自宅」という高齢者の方が46.1%おり、大方の高齢者の方が自分の部屋や家で過ごしているということになります。また、区内の高齢者で「社会的な孤立」を感じている方が15.7%いる中で、特に男性は29.2%いる一方で、女性は12.1%でありました。

 別のデータになりますが、国立社会保障・人口問題研究所の調査では、65歳以上の単身者の「ふだんの会話程度の会話の頻度」が、「ふだんの会話程度の会話が2週間に1回以下」となる割合は、男性で16.7%もいました。つまり2週間誰とも口を聞いていないか、一言交わしたというぐらいの方が100人のうち17人程度いたということです。女性は3.9%まで下がります。「おはよう」とか「ただいま」とか、ひと言でも誰かと話せるという、当たり前のように思われていることが、心と体の健康を維持するためにもとても重要であり、これは核家族化というより孤独化という都市の問題でもあります。一人暮らしの中で誰とも話す相手がいないという問題は行政の課題としてこれまで認識されてきませんでしたが、見守りや健康異変ということで考えると、コミュニティの中で地域の方たちが一人暮らしの方も含めて、家族はいないけれど家族に代わる地域のつながりを作って、そこで会話を交わせるような場、たとえば、週に一回は地域でご飯を一緒に食べられるような場ができるなどというのは、一人暮らしの方たちにとっては大きいと思います。そのために、無作為抽出の方法を取り入れた区民ワークショップなども4回、5回と続けて行い、様々な方にご参加いただきイメージを出していただきました。

また、空き家・空き室の活用も今のテーマと相まって、区内に約6千あるといわれている空き家を地域コミュニティの再生のために再利用することを進めたいと思っていますし、「空き家活用モデル事業」でも昨年の記者会見でご紹介したように、様々な福祉に関わる団体や地域福祉的な活動内容を持った団体がエントリーしたのでその行方を注目し、また後押しをしていきたいと思います。迷惑空き家になる前に、しっかり活用することも心がけたいと思います。

二子玉川公園は、現在半分がオープンして、子どもの遊び場もあり、大変多くの親子連れが来ていますが、ただ今工事中の部分がまもなく4月に完成の見込みになっています。公園サポーターというグループがあり、住民参加で公園の木をみんなで植えたり、植物、花を育てたりと管理にも関わっていただいています。この奥には日本庭園「帰真園」があり、清水建設の前身の清水組の副社長の書院が復元されました。一昨年9月に宮脇先生の指導で行われた植樹イベントは、750人の方が1400本の苗木を植えて「いのちの森」をつくろうということで行われ、今もその木は育っているそうです。

次に、被災地支援についてです。新年の対談では石川さゆりさんをゲストにお招きし、先ほどの二子玉川公園の書院や岡本にある「松本記念音楽迎賓館」で行いました。対談では世田谷の魅力についてなど様々なお話しをさせていただきました。石川さんは震災で甚大な被害を受けた東松島市に伝わる「浜甚句(はまじんく)」という唄を歌える方が多数亡くなったということがあったため、次の世代に継承しようという活動をされています。世田谷区も被災地支援ということで支援金の募金をずっと続けていますが、昨年末には9,000万円を超えました。基礎自治体、あるいは子どもたちの環境支援のためにさらにこの活動を続けていきたいと思っています。
 また、私は、1月6日の仕事始め式で職員に対しても話しましたが、3月で東日本大震災発生から3年が経過するという中で、現在、世田谷区は南三陸町に5人、気仙沼に4人の職員を派遣していますが、今が一番大変な時だと報告を受けています。今後も職員の長期派遣は継続していきますが、そこで体験してきたものを、これから起こるかもしれない首都直下型地震などの様々な災害に対して対応できる様なスキルアップを職員に期待したいと思います。

 

発表項目に移ります。1点目は、梅ヶ丘拠点整備事業における実施方針等の公表です。

梅ヶ丘にあった都立梅ヶ丘病院の跡地の一部を取得し、保健医療福祉サービスの全区的な拠点を整備したいということで検討を進めています。昨年12月に事業の基本計画となる「梅ヶ丘拠点整備プラン」を策定しました。

整備プランでは、防災や交流機能を持ったオープンスペースを中心に、約16,700平方メートルの敷地に「区複合棟」と「民間施設棟」の2つの建物を配置することとしています。「区複合棟」には、保健センターや福祉人材育成・研修センター、認知症在宅生活サポートセンター、初期救急診療所などを設置します。なお、この区複合棟は、災害時には、区の医療救護本部とする予定です。また、敷地の半分を社会福祉法人等の民間事業者にお貸しし、介護老人保健施設を中心とした、高齢者の在宅復帰や在宅療養の支援機能、また、施設入所支援を中心とした、障害者の地域生活の支援という機能を持たせたいと考えています。民間施設棟の整備・運営は、すべて民間事業者が担当することになりますが、この民間施設棟に係る「事業実施方針等」の公表についてお知らせします。梅ヶ丘拠点は、平成31年度の開設予定としており、民間施設棟の整備・運営事業者の公募については、来年度(26年度)を予定しています。
 しかしながら、高齢者支援施設と障害者支援施設を併設するなど、事業規模としても大きなこともあり、早い段階から事業者へ情報を提供してご検討いただくとともに、区として事業者との意見交換を通じて民間事業者が本事業に参入するにあたっての課題等を整理するために、このたび事業実施方針等を公表するもので、明日(1月10日(金曜日))から、区のホームページに掲載いたします。また、事業者向けの説明会を1月23日(木曜日)に実施いたします。

 2点目、3点目は、就労支援関連の項目となります。

世田谷区として、就労支援を利用する区民ニーズを大きく4つに分けていきたいということです。

1つは、生活困窮者、福祉的支援が必要となる方、そして、年齢性別を問わず一般就労に意欲のある方です。以前から紹介している「三軒茶屋就労支援センター」には、さらに若者の相談窓口もしっかり作っていこうということで1月20日に窓口を作ります。そして、「若者就労支援センター」ということでサポートステーションですが、こちらも強化していきます。そして最後に、若者の総合相談窓口ということで、4者連携して動かしていきたいと考えています。

それでは、発表項目の説明に戻りまして、三軒茶屋就労支援センター内でのハローワーク窓口の開設についてご説明します。

10月にオープンした三軒茶屋就労支援センターですが、おかげさまでたくさんの利用者に来所していただく中で、20代あるいはお子様を連れてベビーカーを押したお母さん方など、これまでよりも幅広い方に来所いただいています。国のハローワークに、ここに来てもらえないかという交渉を東京労働局と続けてきた結果、「ワークサポートせたがや」という名前で就労支援センターの中にハローワークの窓口ができます。就労支援センター内に7台の検索端末と職員3人が配置され、全国90万件の情報にアクセスすることができます。これまでもハローワークとの連携を区として行ってきましたが、就労支援センターでは、「せたがやdeパート探し」、「保育士セカンドチャレンジ研修」といった、様々な形でイベントの開催も予定されております。以前、保育士として就職したいという方と、区内の保育現場で保育士を確保したいという方のために開催された説明会では、約90人という参加があり大変大きな手ごたえをいただいています。それ以降も、ほぼ連日開催される予定で、就活に向けて、メンタルケアの問題やキャリアアップのための講座など、研修室を活用していき、またキャリアカウンセリングの個室もありますので、活発に利用していきます。おそらくハローワーク端末がくれば、利用者の方も今以上に膨らんでいくだろうと予想していますので、新たな、88万都市に相応しい就労、求人の交差点にしていきたいと思っています。

3点目は、「就職サポートコーナーきぬた」の開設についてです。

こちらは生活困窮者支援の枠組みの中で作る窓口です。

世田谷区においても、リーマンショック前後から、生活保護の受給者数が約1.6倍に増加していますが、まだ若くて働ける世代が受給をするケースが増えていることがその要因と分析しています。

これもハローワークとの連携により、1台の端末を置き、生活保護受給者や、生活保護を受ける手前にいる方の就労支援として、受給者に対して抑制をかける取り組みについて国との調整を進めてきましたが、1月27日に、砧総合支所内に「就労サポートコーナーきぬた」を開設することになりました。ここには1名のハローワークの方と端末が置かれて、区内5箇所の生活保護の窓口である生活支援課を通じて、予約を入れてもらう形となります。

発表項目は以上となりますが、区のイベントなどについて、2点、ご案内させていただければと思います。

1点目は、「新年のつどい」と「新年こどもまつり」についてです。

毎年、世田谷区で開催している行事ですが、一昨年に世田谷区の名誉区民になっていただいた日野原重明さんと、仲代達矢さんをお招きし、私が進行しながらお話しをうかがう予定です。また、同時開催の「新年こどもまつり」では、昨年、防災協定を結びました十日町市の松代という豪雪地帯から雪を運んで、雪のすべり台やかまくらをつくります。

もう一つは、下北沢の方ですが、昨年、小田急線が地下に潜って、上部利用も含めたゾーニング形成の合意について記者会見も行いましたけれども、これから少し長い間工事が続きます。工事が続く中、仮設の公衆トイレを区が北側に作ります。このトイレの外壁に、落書き防止もかねて、地元町会や商店街の皆さんに絵を描いていただくことになりました。地域のみなさんからご提案いただいた絵のデザインは、みどり溢れる未来の下北沢の街を想わせる内容になっています。また、木々の葉っぱの部分などに、子どもたちに自分の手に塗料をつけて「ペタペタ」とスタンプしてもらうなど、3月頃に、行っていく予定です。

最後に、冒頭触れたように都知事選挙が行われます。東京の抱えている問題として、全国的な人口減の中、東京という巨大都市で誰とも口を聞くことができず、一人で孤立してしまい、亡くなっていることすら気づかれないということがありました。区内でも熱中症で9人の方が、そのうち5人が同じ日に亡くなりました。子どもたちも千人増えていますが、認知症の疑いのある方も毎年千人ずつ増えています。こういった状況の中で、福祉という点でも大変重い、子育て支援や高齢者福祉の最前線は基礎自治体である区であると思います。都と国の間に地方分権という課題があるように、都と区の間にも権限配分で大きな課題があると考えています。とりわけ、課税自主権や都市計画決定など基礎自治体として当たり前の権限が少なからず制約されています。次の都知事選挙では、こういった分権改革ということをしっかり議論していただき、またその進展を強く望んでいるところです。

これで発表を終わります。

次回の記者会見は、2月3日(月曜日)を予定しています。



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