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 昨日、小沢一郎氏の「強制起訴」(検察審査会起訴と呼んだ方がいいかもしれない)のニュースが流れた。10月上旬、二度目の「起訴相当」議決をしたところで、昨日の手続きは予想されていたわけだ。それでも一部メディアは「捕物帳」のようにして、「離党か、議員辞職はないのか」と騒ぎ立て、多くの野党も「証人喚問」の連呼だ。

 

 いまだに東京第5検察審査会がいつ始まり、どんな議論を経て、民主党代表選挙で小沢氏が敗れる日の直前に「起訴相当」の議決をしたのか明らかでない。その後には、村木事件で「証拠改竄」が明らかになり、大阪地検の主任検事、特捜部長、副部長が逮捕されるという検察にとって「前代未聞」の事件があった。しかも、主任検事は「小沢事件捜査」の応援に東京に来ていたという事実も明らかにされた。

 

「小沢氏検審起訴」が発表された当時は、前代未聞の「検察の暴走」の火が燃え盛り、特捜部の捜査の信頼は地に堕ちていた。検察官調書が「真実」であるという前提で判断してきた従来の裁判所の司法判断も大きく問われたのだ。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の原則は、検察審査会では「疑わしきは起訴して裁判で黒白をつけろ」と倒錯することに、私は大きな違和感を持った。

 

 誰も指摘しないので、ぜひ書いておきたいことがある。政権交代との効果とは、長年の間「政治・官僚・財界」を牛耳って、統治機構を握りつつ「政治資金」を捻出してきた旧来の利権構造を表に出すことが容易になるということだ。お隣りの韓国も、歴代大統領の在任期間の疑惑が捜査対象となり、強く問題にされている。ところが、この国では政権交代後に、法務・検察が追い求めた「政治とカネ」の疑惑捜査は小沢問題に終始している。

 

 いつやら自民党は「政治とカネ」の説法を垂れることに慣れている。小泉政権下で行なわれた「規制緩和」は、少人数の企業経営者やエコノミスト、そして政治家が「改革プログラム」を立案して、事前に手まわしよく「儲け仕事」の網を張っておくというインサイダー利権の「隙間」が出来やすい時代だった。関連業界から集中的に献金を受けて、族議員が動いて、法律が変わるという場面を何度となく見てきた。

 

「法案をカネで買うことの出来る時代」に、特捜部の捜査は眠りこけていた。いくつかの疑惑が新聞報道されたが、事件化したものはないに等しかった。政権交代後は、こうした過去の癒着を断ち、政治は刷新するいいチャンスだった。また、佐藤優氏の『国家の罠』で有名になった「国策捜査」も、徹底的に検証して「検察権力の政治利用」が二度と出来ないように改革をする仕事も与党に与えられていた。

 

小沢問題を少し遠目に見れば、法務・検察にとっての「安住の地」は自民党を中心とした政権であり、総選挙直前であろうが、与党の幹事長であろうが、打撃を与えることに躊躇はないという姿である。

「検察官適格審査会」という検察庁法に書き込まれている検察官のチェック機関が、戦後一度も稼働しなかったのは「政治との癒着構造」以外の何ものでもない。

 

「小沢氏証人喚問」が話題になっても、「政治とカネ」と癒着構造解明に結びつくような議論が出てこないのは、自民党の責任ではない。

政権交代をはたした側が問われていると私は思う。

 

 



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