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メール問題は、民主党の全面謝罪で表面上は収束の方向に向かっているように見える。あまりに情けないので、コメントもこのところ控えていた。今日、ニュースを見ていたら、全国紙5紙と北海道新聞に武部氏二男の要請通り「謝罪広告」を出すことで手続きに入るという。野党第一党としては前代未聞の全面謝罪である。その影響が、これからの国会でどのように出てくるのかに注目したい。

誰が何のために「ガセ・メール」を創作したのか。この点は、フリーライターの名前が挙がっているが、本人は否認を続けたまま行方知れずだという。予算審議の大事な時期に、国会を低次元の真贋論争に引きずり込んだ仕掛け人の真意は何だったのか? 真相解明の努力は与野党共通の課題であるはずだ。衆議院予算委員会で起きた出来事だけに、参考人招致か証人喚問で事実を語ってもらう必要がある。これこそ、国政調査権の議論の余地なき行使として国民も理解するところだろう。

永田議員・民主党幹部の連続謝罪で、関係者に非があることは分かった。やがて謝罪広告でフェイド・アウトというのでは、未解明の部分が多すぎる。この虚偽メールは誰がいつ作成したのか。このメールを持って、メディア関係者や与野党議員の間を廻った意図は何だったのか。永田議員が質問した時、与党関係者は同メールを持っていたのか。一切は闇の中である。

初歩的な疑問もある。偽造メールで政権与党の幹事長を一時的に追い詰めたとしても、やがて偽物の正体は明かされる。その時、だまされた側は虚偽情報提供者に対して怒り、とことん追及するはず。国会に呼ばれて、虚偽メール作成の経緯を問われることも、通常の議会制民主主義が機能している国なら予想しておかなければならない。その覚悟が、虚偽メール情報提供者に出来ていたのか。なぜ、その事実解明の声が弱いのか、疑問である。

一連の展開で誰が得をしたのか。それは、2月23日に政治倫理審査会で「身の潔白」を訴えた伊藤公介元国土庁長官だろう。メール騒動の渦中に気を取られて、見事なほど、メディアは関心を拡散させた。関係者が描いていた「予定」では、永田議員が辞職を表明して大騒ぎとなり、政治倫理審査会は小さな扱いとなる流れではなかったか。審査会報道が、当日から翌日にかけて、まったくかき消されることはなかったが、その後は完璧に消えた。

公金である税金の使途に、不当な圧力を加えてはならないことは言うまでもない。耐震偽装問題をめぐって、業界団体や特定業者の声をいち早く国交省に届ける橋渡し役をしたことが、政策決定に影響がなかったか。これは、メール問題で「かき消される」問題ではない。テレビなどで「メール問題で4点セットが消えてしまった」という発言があったが、どこから消えたのかと言えばテレビから消えたのである。消さずにやり続けるのがメディアの使命だろう。

誰がこのメール騒動を仕掛けたのか。それは、単純な偶然がいくつか重なって、目もあてられないような今日の事態を生んだのか。それとも、周到なシナリオにそった仕込み劇なのか。そこを全力をあげて解明する使命が国会とメディアにある。
「なんとなく忘れちゃったね」じゃすまない。

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