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 10月28日、週末の金曜日の夕方だった。関係機関と連絡調整を行なう「災害対策会議」を終えて区長室に戻ってきた私に届けられたのは、「高線量の場を計測した区民がいる」との報告だった。10月初旬の弦巻5丁目で私たちが体験した「高線量計測」は、時間あたり3マイクロシーベルトの2・7マイクロシーベルトだったが、今回計測された数値はずっと高い。すぐに、区職員に計測に向かってもらうと共に、文部科学省に連絡してもらった。しばらく経過してから、文科省が計測した数値は、すでに報道されているように「最も高いところで110マイクロシーベルト」(後に170マイクロシーベルトと発表)と桁違いに高いことが判った。ただし、スペクトルメーターで計ったが波形が読み取れないことから、「原因物は地中にある可能性が高い」とのことだ。

「高線量」が検出されたのは、区内スーパー店舗付近の2カ所で、原因究明のためには舗装をはがして地中を調べる必要がある。ただ、地表でこれだけの高線量が出ていると、原因物がどのような状態で存在しているのかが不明のために、やみくもに掘り返すわけにはいかない。 放射性物質処理などの実績のある専門業者に委託する必要があり、昨日から今日にかけて、文科省と東京都、そして区と店舗の4者で今後の対応策を協議していると報告を受けた。

 28日夜、区では手分けをして近隣の学校、保育園などを再計測した。また、測定にあたった文部科学省にも以来して、「高線量」の計測された2カ所の近隣の民家や道路を隔てた学校を測定してもらい、「高線量の範囲」が限定的であることを確認した。面としての広がりがあるのかどうかを心配したが、すべて「区内の平均値」に近いとのことから、この情報を保育園、学校、そして近隣の住民に配布するように手配した。

 今のところ「高い放射線量」を出している核種は限定されていない。ただ、明日以降に地中調査が始まれば、比較的早い段階で判明するものと思われる。原因物が判明すれば、その除去方法が確定し、同時に周辺へ環境影響を最低限に抑えた線量低減を実現するプロセスに入るのだと思う。なぜ、原因物が埋まってしまったのかの経緯は、今のところまったく不明だ。原因物が何かによって、その解明が早く進むのか、そうでないのかも決まるのではないか。

 今回は千葉県柏市に続いて、福島県以外の自治体で周辺より放射線量が高い地点が発見された時の文部科学省の新たなスキームが動いた2件目のケースとなる。このスキームについては以下で紹介している。  

 文科省、福島県以外のホットスポットの通報・支援窓口を設置へ(保坂展人のどこどこ日記)

 福島第一原発事故で大気中に放出された放射性物質の影響を調査するために、多くの人がガイガーカウンターを持ち歩き計測することで、従来なら誰も気づくことのなかった「管理下にない放射性物質」が見つけられる前回の弦巻5町目のケースも出てきた。今回の「高線量地点」の原因物が何か判らないが、その結果がどうあれ区内の公園258箇所の一斉計測は続けていく。もし、比較的高い線量のポイントが出てくればメッシュを細かくしていき、より細かなデータを公開していく。とりあえず、10月26日から開始した公園の樹木・砂場の計測値の2日分約40カ所のデータは次の通りだ。

世田谷区公園内の放射線測定結果

 今のところ、毎時0・11マイクロシーベルト以下の計測値が続いている。今後とも計測作業を終えた分から開示していくことにしたい。正確で客観性のある情報をすみやかに出すことが重要だ。今後の展開についても、さらに中間報告を続けていきたい。

 

 

 

 

 

 



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