TOP PAGE BLOG ENGLISH CONTACT




 確定死刑囚から6回も再審請求を続けて、ついに再審無罪(1983年)を勝ち取って自由の身になった免田栄さんは現在、80歳になる。私は、免田さんからたびたびお手紙をいただいている。免田さんは無年金者であり、制度の谷間に放置されて久しい。

 11日の法務委員会で、ひさしぶりにこの問題を取り上げた。免田さんは1949年に逮捕されて1951年に死刑確定。死刑囚としての獄中34年、1961年に国民年金制度がスタートした時、彼は死刑囚としての日々を過ごしていた。

 拘置所の看守が、免田死刑囚に「国民年金制度の発足」を説明し、「免除申請をするかどうか」問いかけたなどということはありえない。処刑台に送られる日まで待機している確定死刑囚だった免田さんは、一切その説明を受けていない。

 免田さんの死刑判決は再審無罪で覆り、冤罪事件として多くの人に知られるようになった。もし、捜査機関の過ちがなければ免田さんは社会人として厚生年金か、国民年金を受給していたことだろう。司法も誤判を重ねて時を費やした。この問題に免田さんの非はかけらも見当たらない。

 しかし、年金は支給されていない。社会保険事務所に行っても、「手続きがされていないから認められません」と門前払い。法務省に問うても「年金は厚生労働省の所管事項」とたらい回し。法務大臣は以前の森山さんも、南野さんも「お気の毒だが難しいケース。なんとか研究したい」と言うが、実際には放置している。

 免田さんは80歳である。人生も無限ではない。制度の谷間に置かれた人は運が悪い。それも自己責任だ――と放置していく役所は、未熟で無責任そのものだ。厚生労働省でなく、法務省にこそ免田さんの無年金状態を救済する義務がある。年金に加入できない状態を作った役所がその責務を果たすべきではないか。

  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )



« パキスタン大... 共謀罪審議入... »