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 20日発売の『週刊朝日』に『南西諸島最大「泡瀬干潟」埋め立ての「愚」』という記事を書いた。「国会の質問王、保坂展人が現場を歩く」第2弾だ。先にブログで報告した通り、私は泡瀬干潟の公金差し止めを求める控訴審判決に合わせて沖縄入りした。8年前、公共事業チェック議員の会の視察団として、干潟の自然の豊かさ、深さに感動してから、ずっと気になっていたテーマだった。

 この視察団のメンバーとして、共に長靴を履いて干潟に入ったのが当時の社民党衆議院議員、現在の沖縄市長の東門美津子さんである。06年、落選中だった東門美津子さんが市長選挙に立候補すると、この開発に反対している人たちは、懸命に応援をした。開発推進派を下して当選した東門市長は、市民の声を幅広く聞いて判断したいとヒアリングを続けた後に、07年「1区推進、2区困難」という市長見解を表明した。

 現在、工事が進んでいるのは沖に面した半分約96ヘクタールで、これは建設続行。ただし、何をどのように作るのかについては計画を改める。2期工事については事業予測に無理があったとして中止の方向を打ち出した。干潟の開発を止めようと駆け回っていた人たちからは「市長の変節」と批判を受け、推進派からは「2区中止なんてけしからん」と不満を浴びた。市議会の圧倒的多数は埋め立て推進派である。

 干潟も保全したい。しかし、大きなホテルのひとつもなく観光客にも素通りされて活気を失っている沖縄市の経済建て直しのために埋め立て計画を全面中止するわけにもいかない。苦渋の決断だったのかもしれない。

 しかし、たとえ埋め立て面積を半分にしても、干潟が大きな影響を受けることは否めない。私は、今年の1月に浚渫土砂の投げ入れが始まった時、東門市長に直接電話を入れて「すぐに中止するように」求めた。だが、皮肉なことに那覇地裁も、福岡高裁那覇支部も、
「計画当時とは経済情勢も一変した。もう一度、市民の声を聞きながらプランを練り直したい」という市長の立場が、「公金支出が違法である根拠」とされた。

 どんな開発をするのかを決めることもなく、次から次へと工事を進めるという「官の論理」を裁判所が退けたのだ。おそらく、東門市長は「上告」を検討しているはずだ。しかし、高裁判断で「目的を喪失した公共事業が漫然と公金を支出している姿」を厳しく批判した事実は重い。ここで、上告を断念すれば、ようやく日本の社会が「官僚統治」から「民主主義」へと転換する。一度は、よかれと始めた工事であっても、南西諸島最大の干潟を脅かして人工ビーチとホテル群をつくるべきかどうか、答えは明らかだろう。東門市長自身も一目見て、この事業はおかしいと国会で追及していた原点をもう一度ふりかえってほしい。



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