無粋を承知でこの映画……期限付職員がロックを通してクラスを解放する……が山形県の公立小中学校では成立しない理由を列挙してみよう。
A)担任のけがで臨時職員を雇用することになるわけだが、残念ながら3週間程度の私傷病特休では代替職員を配置することは予算上できない。
B)履歴書と教員免許状の写し、及び健康診断書の提出が必須であるため、そう簡単に主人公のように他人になりすませない(まあ、それ以前に狭い世界だから)。
C)すぐにでも現金がほしい主人公には悪いが、学校には給料の週払いの制度がない。
D)なにより、バンドの練習をしているのに隣の教室に聞こえないほど施設は充実していない(笑)
……こんなイチャモンが無意味なぐらいにこの映画はよくできている。ロックジャーナリズムふうに言えば“ガッツ”があり、しかも “クール”だ。
クラスの中の楽器スペシャリスト(特にベースの女の子の醒めた感じが最高)をピックアップして無敵の小学生バンドをつくるプータローいかさま教師(ジャック・ブラック)。しかしまわりの児童にもキチンと役割を与え(「きみはスタイリスト、きみはマネージャー、きみはローディ、きみは……グルーピーをやれ」わはは)、ラストの怒濤のバンドバトルでも、ちゃんと見せ場をつくっているあたり、教職員の一員として(笑)ちょいと感心。
ロックファンにもサービス満点。特に70~80年代にロックに耽溺してきた人間にはたまらん曲が並び、そのうえ女性校長(ジョーン・キューザック好演)が“酔うとスティーヴィー・ニックスのまねを始めてしまう”あたり、涙が出るほど笑った。
ラスト、解放されたのが子どもたちだけでなく、彼らの親たちと校長、そして主人公自身であることをさりげなく見せ、まれに見る気持ちのいいエンドタイトルにつながる。最高のロック映画。イェイ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます