事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

明細書を見ろ!2020年12月号 Go To

2020-12-19 | 明細書を見ろ!(事務だより)

2020年12月期末勤勉手当号PART2「勝負服2」はこちら

いつもの月にいつものように給料をもらっていると、いつものような額なので(いくら明細書を見ろ!と言っても)額をチェックするモチベーションは上がらないことと思います。

しかし12月は違うでしょう?いつもの手取りとは大幅に変わっているから。

それはもちろん、年末調整の結果が反映されているため。

基本をおさらいしてみましょう。給料からみなさんが天引きされている所得税は、まあこのくらいの給料ならこんなもんだろ、という予測に基づいています。これが源泉徴収という制度。

消費税のような“間接税”にはみんな敏感なのに、直接税である所得税にみんな鈍感なのは源泉徴収のおかげ。最初から引かれているので意識しないですみますから。この制度をうまく利用したのがナチスドイツで、目的はもちろん戦費調達。日本はその例にならったと言われています。

さて、予想した税額と本来払うべき年税額にはもちろん差があります。そこを年末に調整するのが文字通り年末調整というわけです。

この、源泉徴収プラス年末調整というセットは日本独自のもので、おかげで日本の給与所得者はほとんど税を意識することなくすごしています。税について考えることは民主主義の根幹なのに。

ということで、国民が税を意識しないのは為政者にとってまことに都合がいい。税の使途にいつまでも無頓着でいてくれと願っているでしょう。

ところが、コロナの世の中になって、政府が直接に国民に給付を行うことが増え、その内容に議論沸騰。減収世帯に30万円と首相(当時)がぶち上げても、それでは時間がかかり、手続きも煩雑になると撤回されて一律ひとり10万円に変更になったのがわかりやすい例。

そして、いま大騒ぎなのがGo Toトラベル

疫病が蔓延しているのに移動を奨励するという不可解な制度。アクセルとブレーキを同時に踏んでいる、という比喩はまことに的確かと。“業界”の窮状を救うため、という理屈はもっともですが、だったら業界に真水(補助金)を投入すれば……というのは素人考えなのかしら。

だいたい、なぜ旅行業界だけが対象なんでしょう。国民を納得させるには、それこそ消費税を下げるほうがよほど公平で評価も高いでしょうに。

そのGo Toが一斉に停止されることになり……

「たいへんですね」

「まあ、そうですけどね」某大手旅行代理店の社員。

「もうちょっと早くやってくれればね」

「いや、それよりGo To自体にもかなり問題あるんですよ」

「へー」

「使ってくれるのはうれしいんですけど、その分の金がこっちに入ってくるのは2か月も先なんです」

「となると資金繰りが」

「そうなんですよ」

「大手じゃないときついわけだ」

「大手だから額がでかいんで、結局は銀行に泣きつくことになるんです……」

Go To メインバンクというオチ。

画像はマイベスト2020

今年最後の事務だよりなので(まさか差額の支給があると思っている人はいないよな)、個人的ベストワンを紹介します。

映画「フォードVSフェラーリ」

DVD「ホテル・ムンバイ」

「図書館の魔女」高田大介

……ああはやく映画館に行きたい。

2021年1月号「特殊勤務手当」につづく


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