第三十六回「訣別」はこちら。
さて、今回は室町幕府終焉のお話。
最後の将軍である足利義昭(滝藤賢一)は、その苦衷をお駒ちゃん(門脇麦)に語るしかなかった。この物語においてネット民から徹底的に嫌われたお駒ちゃんだけど、受け手として常に機能している。門脇麦と堺正章はその嫌悪にさぞやびっくりしたことと思う。これまでならありえない反応。
にしても自分でも不思議。室町の世をひらいた足利尊氏のことがわたしは大好きで、それは「太平記」によるものが大きい。
その幕府を終わらせた織田信長のことをしかしどうしてこんなに嫌いなんだろう。どっちも一種の革命を成し遂げた人たちでしょう?
話をむずかしくしたくないので天皇関係は抜きにしたいけど、戦前は逆賊と言われていた尊氏なので、その復権として「太平記」は機能していた。信長は微妙だ。歴史好きには大人気。それこそ革命児。彼がいなかったら日本はどうなっていたことか……
ほんとにそうなんですか。「麒麟がくる」においての信長は、染谷将太のコンプレックス芝居が絶妙なので、次第に誇大妄想狂みたいになっていく感じがリアル。蘭奢待(らんじゃたい)なる香木を切り取らせるなどで、正親町天皇(坂東玉三郎)の心が次第に彼から離れていくあたりもわかりやすい。今回のタイトルも信長への少なからぬ嫌悪が感じられますもんね。
「蘭奢待のなかには東大寺って字が仕込んであるんですって」
妻は辞書ソフトで報告。なるほどー。っていうかそれ有名な存在だったの?全然知りませんでした。
まあ、明智光秀が主演のドラマで織田信長を聖人君子に描くわけにはいかない。同時に、反信長の勢力を次第に集めていくドラマにするのもちょっと無理筋なような気もします。
ああもう年末。本来なら大河ドラマは終わっている頃合いなんだなあ。総集篇の時期だよねえ。
第三十八回「丹波攻略命令」につづく。
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