事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

MFM 1冊目 「男性誌探訪」

2008-04-19 | 本と雑誌

Danseishitanboh 斎藤美奈子著 朝日新聞社刊 1,400円

 またぞろ血液型による性格診断がブームになっているようで苦々しい。あんなものをありがたがっているのは日本人だけだ。科学的に完全に否定されているし、たとえA型の性格だのO型(わたしです)の性格が存在したとしても、個体差の方がはるかに大きいわけだから、変な予断を与えて無用な軋轢を呼ぶだけなのに。

 その人の性格を知りたいのなら、血液型だの星座を調べるまでもない。こう訊けばいいのだ。

「あなた、雑誌はなに読んでます?」

 総合誌が一時の勢いを失い(「文藝春秋」や「世界」を“読み通す”人ってもういないと思う)、個人の好みが細分化され、小さく、そして深くなったマーケットに向けて雑誌は今も百花繚乱だ。だからその人の読んでいる雑誌を知れば、人となりの多くを概観することができるだろう。

「男性誌探訪」は、上野千鶴子や小倉千加子がめったにマスコミに登場しなくなって以降、フェミニズム方面でもっとも苛烈な論陣を張る斎藤美奈子が、世に言う男性誌の内情を探ったAERAの連載をまとめたもの。掲載誌の関係か、いつもの切れはないが。

斎藤は言う。
「かつて少女雑誌の『過激な性表現』が国会で問題になったことがあったけれども、じゃあ当時の少年雑誌はどうだったのよ、なぜそれが国会で問題にならなかったのさ、といまさらながらに思ったりする。特に男性誌の看板は出していなくても、作り手と読み手の間に『わたしは男、あなたも男』とする暗黙の了解が成立している雑誌は存在する。それらを広義の男性誌と仮定するなら、現在の文化の下での男性性について考える、なんらかの手がかりにはなるはずだ。」

……当たってる、と思う。そして、ことは男性誌に限らず、愛読誌を語ることは、きっとその人の人間性をも露わにする、という考えが空論ではないことがわかってもらえると思うのだ。さあ新企画「My Favorite Magazine」略してMFM、スタートだ。

次回は男性週刊誌篇

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