事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「弥勒の月」「夜叉桜」「木練柿」 あさのあつこ著 光文社刊

2010-08-27 | 本と雑誌

33492487 小間物問屋「遠野屋」の若おかみ・おりんの溺死体が見つかった。安寧の世に満たされず、心に虚空を抱える若き同心・信次郎は、妻の亡骸を前にした遠野屋主人・清之介の立ち振る舞いに違和感を覚える。―この男はただの商人ではない。闇の道を惑いながら歩く男たちの葛藤が炙り出す真実とは。
(「BOOK」データベースより)

「バッテリー」のあさのあつこが時代小説?ちょっと肌合いとしてよくわかんないので敬遠していたのが大失敗。こりゃあ傑作だ。主人公の同心・信次郎が、好敵手(犯人ではなくて)を見つけて狂喜するあたりと、その好敵手を権力をかさにきてなぶるあたりの展開がいい。

そしてこの好敵手・遠野屋のキャラがなかなか。彼の心のなかは、第一作「弥勒の月」の最後の最後の情景でしかうかがえないあたりが渋い。ダークで冷たい味わいの宮部みゆきといえばわかりやすいのでは……わかりにくいですか、そうですか。

第二作「夜叉桜」第三作「木練柿」と、次第に普通の時代小説の体裁をととのえてはいるが、どSな主人公とまっとうなライバルという構図が守られるかぎり、このシリーズは魅力的でありつづけるだろう。一回ぜひ読んでみてほしい。

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