インドで生まれ育った少年パイの両親は動物園を経営している。新たにやってきたベンガル虎に興味津々のパイは、父親に禁じられているにもかかわらず、ひとりで餌をやろうとする。しのびよる虎。彼は(ちょっとした手違いで)リチャード・パーカーという人間の名がつけられている。飛び込んできた父親は激昂し、息子に告げる。
「動物と心が通うことなんてない。彼らの目には人間の感情が映っているにすぎない」
リチャード・パーカーは残忍に餌である山羊を屠り、静かに去る。
カナダに移住することになったパイ一家は、動物を連れて、まるでノアのように日本船籍の船に乗りこみ、しかしその方舟は難破してしまう。救助ボートに残ったのはシマウマ、ハイエナ、オランウータン、パイ、そしてリチャード・パーカーだった……。
ラストは涙ボロボロ。3Dめがねはこういうとき不便。山形フォーラムで同じ回に観ていたオッサンは、あまりに感動したのか
「もう一回、観ていいかな」
と係員にかけあっていました。
「すいません入替制なんでー」
3Dはどうしても明度が落ちる欠点があるけれど、それを逆手にとって監督のアン・リーは過剰な明るさとトリッキーなテクニックで自然を描き、観る者を圧倒する。トビウオの群舞、クジラの飛翔、難破船の描写など、映画館で船酔いするほどの迫力。
そしてそして、なによりもリチャード・パーカーの存在感がすばらしい。残忍な虎であることと、弱っちい猫の同居。
彼の眼に、パイはどう映っていたのか、単なる食材か、それとも……。
帰ってから、うちの猫が無性に愛おしくなり、固く抱きしめる。彼がわたしを単なる食材提供者としか見ていないとしても、それ以上の何かがあると信じたい。パイとリチャード・パーカーの別れにも、何かがあったはずだ。
たとえそれが、永遠の片思いだとしても。
三川は2Dでシネマ7と小さい劇場…。
現在2nd上映の『ヱヴァ:Q』で頭一パイ(^^)ですが
機会観て鑑賞しますね。
3Dだと画面はチープになるじゃない?
そこを計算に入れているあたりがすごいなあと。
オープニングの動物園の長回しからしてすげー。ぜひ。
見終わって、いろいろと考えてますが、私が感じた違和感こそが監督の意図したもんだったのかなと。
絶対にきれいなものであるわけでもないものを、美しく描いたことがファンタジーなんでしょうか。
前半と後半のギャップを、3Dでケムに巻いたんじゃないかなあと感じたりして。
2Dで見てたのが原因かわかりませんが、やけに冷静に見てました。
I'm sorry!
だったことでも、信仰の物語が核にあるのは理解出来ます。
しかしそれ以上に、息苦しさを回避する過剰な描写の
連続こそがオレの本領だ、ってアン・リーは
言っているような気はするんです。