事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ライフ・オブ・パイ 虎と漂流した227日」Life of Pi(2012 FOX)

2013-01-28 | 洋画

Lifeofpiposterimg01 動物が好きな人の書いた物語だと思う。特に、ネコ好きの。

インドで生まれ育った少年パイの両親は動物園を経営している。新たにやってきたベンガル虎に興味津々のパイは、父親に禁じられているにもかかわらず、ひとりで餌をやろうとする。しのびよる虎。彼は(ちょっとした手違いで)リチャード・パーカーという人間の名がつけられている。飛び込んできた父親は激昂し、息子に告げる。

「動物と心が通うことなんてない。彼らの目には人間の感情が映っているにすぎない」

リチャード・パーカーは残忍に餌である山羊を屠り、静かに去る。

カナダに移住することになったパイ一家は、動物を連れて、まるでノアのように日本船籍の船に乗りこみ、しかしその方舟は難破してしまう。救助ボートに残ったのはシマウマ、ハイエナ、オランウータン、パイ、そしてリチャード・パーカーだった……。

ラストは涙ボロボロ。3Dめがねはこういうとき不便。山形フォーラムで同じ回に観ていたオッサンは、あまりに感動したのか

「もう一回、観ていいかな」

と係員にかけあっていました。

「すいません入替制なんでー」

3Dはどうしても明度が落ちる欠点があるけれど、それを逆手にとって監督のアン・リーは過剰な明るさとトリッキーなテクニックで自然を描き、観る者を圧倒する。トビウオの群舞、クジラの飛翔、難破船の描写など、映画館で船酔いするほどの迫力。

そしてそして、なによりもリチャード・パーカーの存在感がすばらしい。残忍な虎であることと、弱っちい猫の同居。

彼の眼に、パイはどう映っていたのか、単なる食材か、それとも……。

帰ってから、うちの猫が無性に愛おしくなり、固く抱きしめる。彼がわたしを単なる食材提供者としか見ていないとしても、それ以上の何かがあると信じたい。パイとリチャード・パーカーの別れにも、何かがあったはずだ。

たとえそれが、永遠の片思いだとしても。

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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
山形フォーラムは3Dでしたか。 (ぱたた)
2013-01-29 08:42:58
山形フォーラムは3Dでしたか。
三川は2Dでシネマ7と小さい劇場…。
現在2nd上映の『ヱヴァ:Q』で頭一パイ(^^)ですが
機会観て鑑賞しますね。
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ああ、この映画だけはねえ、3Dで観ないと。 (hori109)
2013-01-29 20:16:49
ああ、この映画だけはねえ、3Dで観ないと。
3Dだと画面はチープになるじゃない?
そこを計算に入れているあたりがすごいなあと。
オープニングの動物園の長回しからしてすげー。ぜひ。
返信する
あえて、2Dで見ました。 (sakurai)
2013-02-01 07:51:54
あえて、2Dで見ました。
見終わって、いろいろと考えてますが、私が感じた違和感こそが監督の意図したもんだったのかなと。
絶対にきれいなものであるわけでもないものを、美しく描いたことがファンタジーなんでしょうか。
前半と後半のギャップを、3Dでケムに巻いたんじゃないかなあと感じたりして。
2Dで見てたのが原因かわかりませんが、やけに冷静に見てました。
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海に放り出されたパイの第一声が (hori109)
2013-02-02 11:28:00
海に放り出されたパイの第一声が
I'm sorry!
だったことでも、信仰の物語が核にあるのは理解出来ます。
しかしそれ以上に、息苦しさを回避する過剰な描写の
連続こそがオレの本領だ、ってアン・リーは
言っているような気はするんです。
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