毎朝、職場に届く新聞は読売新聞、朝日新聞、山形新聞。玄関から職員室に早出の技能士が運び、来客用のテーブルに一日置かれている。
翌朝、それらの新聞は事務室に移され、学校事務職員がお昼どきに熟読する。だからわたしの新聞から得る知識は一日遅れのことが多い。
今日もそうやって山形新聞、読売新聞の順に読み進める。朝日新聞は自宅で斜め読みしてるしね。
「うわっ」
思わず声が出る。原尞の死亡が報じられていたからだ。のっぽさんの訃報と並んでいたので、それがなかったらもっと大きな記事になっていただろう。おいおいもっと大きく扱ってくれよ。のっぽさんには悪いけれども。
わたしは原尞のファンだ。大ファンだ。彼の著作はすべて購入し(図書館で借りたことは一度もない)、耽溺してきた。といってもそれほど偉いわけではない。なにしろ原尞は寡作で有名。すべて羅列すると……
「わたしが殺した少女」(直木賞受賞作)
「天使たちの探偵」(短篇集)
「さらば長き眠り」
これだけ。あとはエッセイ集。文章に徹底的にこだわるため、編集者泣かせではあったろう。
探偵沢崎のファーストネームも、電話応答サービスの女性との関係も、すべては闇に消える。新作の草稿ぐらいはあるだろうが、彼が出版を許すはずもない。
ファンに許されるのは、彼の著作を、ひたすらに読み返すことだけだ。そうします。にしても、へたる。もう沢崎の新作は読めないのだ。
ああもっと彼については語りたい。その2につづく。
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