妻はそれきり11年、口を利かなかった――。
30を過ぎて結婚した男女の遠く隔たったままの歳月。ガルシア=マルケスを思わせる感覚で、日常の細部に宿る不可思議をあくまでリアルに描きだす。過ぎ去った時間の侵しがたい磐石さ。その恵み。人生とは、流れてゆく時間そのものなのだ――。小説にしかできない方法でこの世界をあるがままに肯定する、日本発の世界文学! 第141回芥川賞受賞作。
はてしなく女性に敗れ続ける男の物語。こう結論づけてはみもふたもないか。でも主人公の負けっぷりがそれはそれは見事なので、気持ちよく読みおえることができる。
三井物産(フラットに“ぶっさん”と言うだけで業界では通じる)の次長という勝ち組サラリーマンの頭の中の家庭像や女性像が、まさかこれほどまでにざらついたものだとは……と驚いてみせるのはマスコミぐらいだろう。みんな(少なくとも中年の男たちは)内心では「あるよなーこの感じ」と思っているのでは。
むしろわたしは、
・熱情とともに結婚し
・家族のあたたかい会話を楽しみ
・老後を配偶者と過ごすことに穏やかな楽しみを見つける
……輩の胸ぐらをつかんでこう問いつめたい。
「本気か。本気なのか?」と。
わたしが恐怖するのは、妻がそんな輩に同じセリフを吐いている場面だろうけれど。
きのう、邦題「96時間」・・・洋名{TAKEN}を観てきたんですが、予想外に面白かったすよ。リーアム・ニーソンのオヤジがスーパーマン的強さでしてね。まるで、ジェイソン・ボーンみたいでした。
だから「96時間」ってタイトルだとどうも気がのらないんだけど、
それが延々と興行成績で上位をキープした「Taken」
だと知ると見たくなる。
ひねくれた客だよオレはよ。