そりゃ、リュック・ベッソンだから多少の無理はしてるだろうと予測。
(ちょっとほどがあるでしょ、というくらい)溺愛する娘がパリでアルバニア人たちに誘拐される。元CIAのエージェントである父親(リーアム・ニーソン)は“人質奪回のタイムリミット”とされる96時間以内に連れ去られた(Taken)娘をどう取り戻すか……
無茶にもほどがあります。
彼の行く先々で、ためらいなく悪人たちは処刑されていく。もちろん一応ハードなやり口も仕方ないでしょ、という伏線ははってある。
ワーカホリックだったために妻は娘を連れて富豪と再婚しており、父親にとって生き甲斐は娘だけだということがくどいぐらいにくり返して説明される。
誘拐は人身売買という最低の目的のためであり、麻薬漬けにされた少女たちの描写を先にして、殺人の連続に感情移入できるように仕立ててある。
いやしかしやっぱりこれはやり過ぎ。ハリウッドとはコードが違うことをいつも感じさせるリュック・ベッソン作品群のなかでも、ダントツにしんどい。
ストーリーにしこんであるのは『パパの言うことをきかないとひどい目にあいますよ』という保守的なお説教(ある登場人物が、子どもたちに赤ずきんのお話を読み聞かせているのはその象徴)。U2なんてわけのわからないバンド(笑)のおっかけなんて不道徳なことをするからバチが当たるんですよ、って具合。
もちろんアメリカでも大ヒットしただけあって、美点も多い。誘拐直前に父親が娘にアドバイスするポイントは、携帯時代にまことに有効だろうし(逆に殺されちゃうリスクも大きいけど)、レザーファッションがアメリカっぽいリーアムのガタイの大きさが父親の慈愛を感じさせもする。妻を演じたファムケ・ヤンセンもあいかわらず素敵。
でもね、ネタバレになっちゃうけど、あれだけのことをしでかした父親は、やはりラストで死ななければならないと思う。それがお約束ってものじゃない?あ、そうか。リュックにはそんなハリウッドコードが通じないからうけるのかあ。
とりあえず、リーアム・ニーソンとファムケ・ヤンセンの子にしては、あの娘はちょっと背が低すぎるんじゃないすか、といいがかりをかまして気持ちを落ち着けますわたし。
……で、生き残ったからこそPART2がまた大ヒットしてしまいましたw
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