リュック・ベッソンの映画を観ていて、イラッとくることはありませんか。
とにかくスピード感ありありで、派手な画面がつづくから退屈はしない。でも「おまえ客をなめてるだろ」と、つい言いたくなる。客のレベルに合わせてつくってるんだよ!って雰囲気がどうしても……。
前作につづいてリーアム・ニーソンが敵を殺しまくるこの続篇にしても、90分というタイトな上映時間はいい感じだし、明らかにジェイソン・ボーンシリーズを意識した(特にスプレマシー)小道具をうまく使ったアクションもすごい。アップルがいくら出資したかと誤解したくなるほど見終わった観客はiPhoneがほしくなるはず。
でもさあ。
息子を殺された恨みのために、なりふりかまわず(でもけっこうマヌケに)ニーソン一家に襲いかかるアルバニア人たち。暴力が暴力を生む連鎖の哀しみが……いちおうそんな理屈なんだけど、これはもう絶対に言い訳。ドンパチを成立させたいだけでしょ。
アジアとヨーロッパの接点であるイスタンブールが舞台なのも、単に意味ありげなだけ。いいのかニーソンこんなんで。父親としては娘に過干渉だから最低だし。
とかなんとか難癖をつけながら、わたしはこの映画を楽しんだ。というのも、わたしは大がつくぐらい妻を演じたファムケ・ヤンセンのファンだから。
大柄な彼女の身体に傷をつけ、ひっくり返して失血を待つ……よほどお好きな方でないとこの設定は思いつかないぞ。よかったなー。あ、こんなことだからリュック・ベッソンになめられるのかー。