この国。 (ミステリー・リーグ) 価格:¥ 1,890(税込) 発売日:2010-06-10 |
おそらくは、柳広司のジョーカーシリーズへのカウンターとして書かれたものであろうと予測。オレなら、こうやると。
「攪乱者」で、現実の政権交代を先取りしてしまった石持なので、実はかなり政治的。独裁国家として異様な発達を遂げてしまったニッポン。秘密警察と反体制派との暗闘をさまざまな“ゲーム”として描く。
石持の周到なところは、警察国家であるニッポンを、北の某国のように特異に描きながらも、主人公の体制派と同様に妙に魅力的に描いているあたり。最初の「ハンギング・ゲーム」に顕著なように、ふたつの勢力の頭脳戦は、体制の側が強力だからこそ面白いのだ。その意味で、ラストはちょっと物足りなかったか。
国家管理された売春宿で、特定の娼婦の相手だけが殺されていく。どうやって犯人は彼女を相手にした男を判別したか、などミステリとしての魅力もたっぷり。続編は……この造りだと無理かあ。
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