企画:俊藤浩滋 監督:中島貞夫 主演:鶴田浩二、佐分利信、菅原文太
実録路線がどんづまりに陥った東映が、最後の最後に大ばくち。「ゴッドファーザー」をあざとくパクった作品。けっこうお金かけてます。向こうがコルレオーネ一家ならこっちは山口組、向こうがマーロン・ブランドならこっちは佐分利信、向こうがベッドに馬の生首を転がすならこっちは女の……という具合。そのことを批判しているわけではなくて、東映はそのあたりを軽くやっちゃうあたりの軽率さが売りの会社だったので全然OK。
でも、製作中からこの映画には保守的な館主たちのつきあげが激しかった。「日本の首領」だけではどんな映画だかわからないから「やくざ戦争」をくっつけ、大作なのに二本立てでやらなければならないので尺を切られたり……そりゃ、どんづまりにもなるわな。高校生だったわたしは、何をバカなことをやっているのかなあと思っていた(その頃はやくざ映画ばっかり観ていた)。
わたしはこの作品は大好き。初めてやくざ映画に出演した佐分利信の貫禄(奥さん役の東恵美子もよかった)や、アル・パチーノの役割をクールに演じた高橋悦史の演技が光る。“疲れたやくざ”を演じさせたら天下一品、鶴田浩二の肩を落とした感じも泣かせます。
チンピラに翻弄される歌手役は絵夢。なつかしー☆☆☆★★★
※ここで今さらだけど注釈。星印は敬愛する映画評論家双葉十三郎さんの「ぼくの採点表」方式。☆が20点、★が5点。だから☆☆☆★★★は75点というわけ。☆が四つ以上あると傑作という感じだけれど、DVDで観るには75点ぐらいのがいちばん気持ちがいいような気もする。双葉さんは芸術には満点と零点はありえないと主張するけれど、素人はそんなもん気にしないのでそのつもりで。
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