事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「笛吹川」('60 松竹) 木下恵介監督 高峰秀子 田村高廣主演

2008-05-24 | 邦画

俳優の田村高廣さんが死去2006年05月18日09時26分

Takahiroportrait「兵隊やくざ」「泥の河」などの映画や、テレビ、舞台で渋く知的な演技をみせた俳優の田村高廣(たむら・たかひろ)さんが16日、脳こうそくのため都内の病院で死去した。77歳だった。葬儀は親族などで済ませた。「お別れの会」は未定。
時代劇スター阪東妻三郎の長男として生まれる。同志社大卒業後、商社に勤めたが、53年に父が急逝、周囲に推され映画界に転身した。54年、木下恵介監督の「女の園」でデビュー。「二十四の瞳」では教え子の一人で、戦争で視力を失う磯吉を熱演、高い評価を得た。 65年の「兵隊やくざ」で社会に背を向けたインテリ上等兵を演じ、勝新太郎の荒くれ兵との名コンビが人気を集め、シリーズ化された。81年の「泥の河」では、川べりで小さな食堂を営む主人をきめ細かで人情味たっぷりに演じた。
NHK大河ドラマ「太閤記」「花神」、NHK朝の連続テレビ小説「ファイト」の老調教師役など、テレビの出演も多く、名脇役として活躍した。来年公開予定の映画「The焼肉ムービー プルコギ」に出演したのが最後の仕事となった。 俳優の田村正和さん、田村亮さんは実弟。

田村高廣が自分のことを不器用な俳優と規定していたのは衒いでも謙遜でもなく、本当にそう思っていたのだろう。彼は確かにどんな役を演じても「田村高廣」だったから。晩年は怖いぐらいに父親の阪東妻三郎に似てきて、その味わいは深いものがあった。芸能人としての才能は阪妻が予言したように弟の田村正和の方が上だったかもしれないが、こと映画界に残した足跡は正和のそれをはるかに上回る。

言わずとしれた「二十四の瞳」、「白い巨塔」での唯一の良心派だった里見医師、「泥の河」「愛の亡霊」……わたしが好きだったのは「本陣殺人事件」の新郎役と、テレビの「春の坂道」で演じた沢庵和尚。あれはよかったなあ。

16_fuefukigawa 今回とりあげるのは「笛吹川」。知らないでしょう?木下恵介監督の最高傑作ではないかと言われながら、今では誰も語らなくなってしまった映画である。それには三つの要因がある。

①原作の深沢哲郎との著作権をめぐるトラブルで、「楢山節考」とともに近年までビデオ化、あるいはTV放映もされなかったこと。
②モノクロフィルムに色を焼き付けるという凝った技法が災いしたか(それにしてもアヴァンギャルドだ。こんな実験が許されるほど、松竹は木下恵介を信頼し、甘やかしていたわけだ)、この映画がヒットしなかったこと。
③同時代において木下恵介は名監督、ヒット量産監督として称揚されすぎ、ために今では逆に誰も語ることすらしなくなってしまった……

こんなところだろうか。木下のむきだしの反戦意識が、領民を使い捨てにする武田信玄への憎悪の形で描かれている。一度は観ておくべき映画だと思う。好き嫌いは極端に分かれるだろうけれども。

主演の田村高廣は、それでも子どもたち(市川染五郎ら)が武士となるためにいくさへ出て行く寂寥を激しく演じていて泣かせる。そして、その演技はやはりいつもの田村高廣なのだった。合掌。

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2 コメント

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マイブログに、リンク&引用させてもらいました (ジョニーAデップ)
2013-08-29 00:47:58
マイブログに、リンク&引用させてもらいました
不都合あればお知らせくださいませ
なにとぞ宜しくお願いしますー
返信する
ダメじゃないですかわたしのより面白くちゃ(笑) (hori109)
2013-08-29 07:47:12
ダメじゃないですかわたしのより面白くちゃ(笑)
返信する

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