第四十五話「不義の噂」はこちら。
前回の視聴率はめずらしく的中して12.8%。でも視聴率オタクとしては、裏番組の「イッテQ!」におけるイモトのマナスル登頂がいかにすごかったかを読み切ることができなかったので、むしろ大健闘の数字かと。すごかったらしいですもんねえ。
今回のメインは徳冨蘆花と久栄の駆け落ち騒動。しかしそう見えて実は八重が“母親”としてどう動くかがドラマの柱だ。
庇護者としてふるまっていた久栄から離反される八重。常に正論しか語らない人はどうしてもこうなる可能性が大きい。しかし、はねっ返りの娘に苦労してきた佐久(風吹ジュン)からすれば、さまざまな動きは想定内……なるほど。母親というのはさすがに強いもんですなー。
病に倒れるみねのことも含めて、母親はいろいろなことを真っ正面から受けとめなければならず、格好をつけがちな父親とは覚悟が違う。妻といっしょに見ていなくてよかった。
格好、でいえば久栄との駆け落ちを中途半端にあきらめる徳冨蘆花はしんどい。人間の本当を描きたいと願った彼は、しかし久栄の本当を振り捨てて東京に出て行く。
のちに彼が書いたのが「不如帰」。それが“本当”だったかは微妙。明治人に小説をフィクションとして受けいれる素地があったか、あるいは日本人は様々なことを見立てることが通常だったので、モデルとされた山川捨松(画像)はそのことで苦しんだらしい。
蘆花と蘇峰の兄弟は、苗字の表記まで徳富と徳冨として違っているように、かなりの葛藤があったようだ。わたしの商売としても富と冨の違いにはかなり気を使う。そこにどれだけの本当があるのかはわからないけれど。
実は八重にとって何の動きもない回だったので期待していなかったんです。でも、うまくしのいだなあという感じ。これ、本音です。マナスルもないことだし、視聴率は13%台後半と読みました。函館に旅行したときに紹介された、新島襄密航(あ、渡航だったかな)の場所がドラマにふたたび出てきたのはうれしかった。
第四十七話「残された時間」につづく。
まあ、伊藤博文と山縣有朋がいかにも憎々しげに
「八重の桜」では描かれすぎてるしねえ。
しかし、今回、不倫に続いて駆け落ちとは・・・。なんだかなあ、と、ちょっと思ってしまいました。本作では、はじめからなんとなく時栄と久栄の描写がよそよそしいというか、いつまでたっても「家族」味が感じられないと思っていましたが、こういう結末があるからこそだったんですね。今頃になって納得した次第。
大河ドラマの2015年のテーマが早くも決まったようなのですが、なんと吉田松陰の妹が主人公とのことですね。「八重の桜」で、会津に肩入れして山口県人から不興を買ったNHKの罪滅ぼしかと思ってしまうのですが・・・。