事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

BATTLE ROYALE

2007-10-14 | 邦画

BATTLE ROYALE
`00 東映 深作欣二監督作品 ビートたけし/藤原竜也/前田亜季主演

Battleroyale3  ストーリーはいたって単純明快。新世紀教育改革法(この名前からして強烈な皮肉)⇒BR法の施行により、日本全国の中学3年生から1クラスを「厳正なる抽選の上(笑)」選択し、無人島に連れて行って最後の一人になるまで殺し合いをさせる、これだけだ。

 原作は角川の日本ホラー大賞の応募作なのだが、選考委員にボロクソにけなされて(「活字にしたくない」)選外。太田出版が出したらベストセラーになったいわくつきの作品。ホラーの選考を林真理子になんかさせるなよ。

 原作と映画の最大の差は、クラスが3年B組に設定してあるようなパロディっぽさが後退し、真面目な問題提起(ビートたけしのセリフ「この国はすっかり駄目になってしまいましたー。」「人生はゲームです。」等々)が前面に出てきたこと。ユーモアのセンスの欠如が日本映画の欠点だと私はいつも思っているが、今回に限ってはこの脚色に賛同する。基調ははっきりと大人VS中学生の対決だし、十数年中学校に勤めてきた観客としては、洒落にならない状況を笑いで包むのはむしろ余計な作業だ。

 正直に言えば、教師に反抗した瞬間、即座に刺し殺される生徒を見て「やった!」と思ってしまった自分もいるわけで、全国の中高に勤める人間は必見の映画かも。自分の性根が試されるのだから。前の学校にいた体罰肯定教師は、原作を無邪気に面白がっていたし。

Battleroyale  役者もみんないい。ビートたけしの最後の本音には泣けるし、新人前田亜季はひたすら有望。25歳で中学生を演ずる山本(メロリンQ…って古いか)太郎は名演。ポンズダブルホワイトの(ファンデーションを使わない娘ね)柴咲コウと、後で気づいたら一言もセリフの無かった安藤政信の二人は中年から観てもかっこいいぞ。

 かっこ悪いのはこの映画の外側の方で、「BR法ではない真の教育改革を急がなければならない」と言い切る映画評論家にして文部官僚の寺脇研の言い草や、「社会道徳や秩序、青少年教育に影響を与えるものは、政府が判断すべきものではないか」とまるで戦前の検閲を復活させたいかのような発言をかました民主党(この党には馬鹿も多い)の石井紘基の頭の悪さ加減たるや……加えて、久しぶりの大ヒットなのに次の「頭文字D」のために上映館を変更せざるをえない東映の末期症状……この国は本当に駄目になってしまいました。
[2000年12月27日 酒田港座]

……あれから7年。安藤政信と柴咲コウのブレイクはめでたいかぎり。まもなく石井紘基が刺殺されたのには驚いた。バトルロワイヤルは、政治や宗教がからんで現実化しているかのようだ。

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