事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「文学賞の光と影」 小谷野敦著 青土社

2013-06-12 | 本と雑誌

A0076160_1341419 あの皮肉屋にして執念深く、そして文学賞にあまり縁がないくせに文学賞オタクである小谷野敦が、その文学賞について縦横無尽に語る。んもう面白くないわけがない。

彼と同様に上質な作品を残しながら、なぜか賞をもらえない作家への連帯の視線もいいが、やはりクソ作品で芥川賞をとった連中への罵倒が爆笑。いやーそこまで書くか。訴えられるんじゃないすか辻仁成あたりに(笑)

小谷野しか言えないネタの数々は以下のとおり。

丸谷才一
作家として文壇に出たのは遅く、42歳で、三度目の候補で芥川賞を受賞した。選考委員だった三島由紀夫を認めなかったため、遅れたともいわれる。

鴻上尚司
小劇場ブームのとき、野田秀樹などが次々と岸田戯曲賞を受賞するなか、ひとりだけとれなかった。初期の代表作「朝日のような夕日をつれて」のなかで、ニーチェとかフンボルトといった西洋の思想家の名前をギャグに使ったことに選考委員の田中千禾夫が怒り、あいつだけには絶対にやらん、とがんばったから。

・岩井克人
妻は作家の水村美苗。小林秀雄賞をとった「会社はこれからどうなるのか」は、黙っていたらビジネス書みたいなもの。むかし柄谷行人の友だちだったとか、妻の影響でとったとしか……

・豊崎由美
数ある文学賞のなかで、芥川賞・直木賞をもりあげたのは実はこの人と大森望のふたり。「文学賞メッタ斬り!」で石原慎太郎や渡辺淳一を仮想敵にしてくれたから。

・沢田康彦
前妻が作家の蒔岡雪子。いまの奥さんはごぞんじ本上まなみ。どちらもすごい美人。大学時代に「本の雑誌」の配本部隊。卒業後、マガジンハウスへ。いいなあ。

・村上龍
「限りなく透明に近いブルー」は、当初「クリトリスにバターを」というタイトルだった。

文学賞の光と影 文学賞の光と影
価格:¥ 1,890(税込)
発売日:2012-06-22

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「作家の値段 新宝島の夢」... | トップ | 大江戸釣客伝(上・下)夢枕... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
てかなんで文芸春秋なんちゃら小説賞が未だにあん... (のりしお)
2013-06-13 21:32:28
てかなんで文芸春秋なんちゃら小説賞が未だにあんなに大きく取り上げられるのかがわからない。季節の風物詩的ネタくらいにしかもう思えない。
(浅田彰もかつて村上龍が受賞したあたりでもう使命を終えてるって言ってたしなあ)
返信する
これはもう理由ははっきりしています。 (hori109)
2013-06-14 21:14:06
これはもう理由ははっきりしています。
「文学賞メッタ斬り!」を楽しむためにあるんでしょう(笑)
まもなくファイナルを特集しますのでお楽しみに。
返信する

コメントを投稿

本と雑誌」カテゴリの最新記事