かぐや姫 - 神田川
PART2「960万円」はこちら。
「なんだかまた東京の青春をまた描きたくなって。爪を立てて城壁をよじ登っていく青春を。このごろ思うね。物書きはおぼれなきゃ。おぼれて、ボロボロになって、それでも生きてるなとなったときに初めて詩が生まれる。海の底を蹴って、竜のごとく天空へ飛び出さないと。波打ちぎわでちゃぷちゃぷじゃだめ。機動隊にボコボコにされ、好きな女にもフラれ、いっそ死んでやろうかと落ち込んだ体験があったからこそ『神田川』のフレーズが浮かんだ。東京は海なんだよ。若者は勇気をもっておぼれ、何かをつかんでほしい。われわれ団塊の世代の青春だけが特別に輝いていたわけじゃないから」
先月、74才で亡くなった喜多條忠(きたじょうまこと)さんの発言。そのなかにあるように、彼の最大のヒット曲はかぐや姫の「神田川」だ。小さな石けんがカタカタ鳴ったり、やさしさが怖かったりするあの曲です。早稲田の学生だった彼が、同じく早稲田に在籍した女性との短い同棲生活を歌ったものだそうだ。
発売されたのはわたしが中学のころ。「海のトリトン」でしか知らなかったこのバンドは一気にメジャーになった。同じアルバムには伊勢正三の「アビーロードの街」という名曲も。にしても、東京は海なんだよ、はマジで名言だなあ。
「舅、姑、小姑の国」につづく。