今日もまた、7年も前のネタです。シネコンではなく、街の映画館での想い出を。今では歴史的資料みたいだけど。
「ゴジラ×メガギラス G消滅作戦」 ‘00 東宝
田中美里、谷原章介主演 手塚昌明監督
酒田港座の駐車場は満杯。まあここは10台程度しかキャパがないのでそれは珍しいことではないのだが、封切り2日目の日曜日とはいえ、1回目の上映が始まる10分前に映画館前を全力で走る親子連れを見た時に不審に思うべきだった。
200mほど離れた別の映画館の駐車場に車をとめ(「お父さん間に合うの?」「大丈夫だって。どうせ空いてるし」)、小3の息子と港座に入り、割引券とシネクラブの会員証を提示して計2,000円也を支払い、ドアを開けて……たまげた。超満員だったのである。んもう昭和三十年代の映画館かここは、と思うくらい。いくら映画がゴジラとはいえなぁ。
学校に勤めている人間として何が自分の弱点なのかというと、職業人としてではなく、素の顔を生徒に晒す時にちょっと照れてしまうこと。なにしろ相手はこっちの照れなど忖度するような連中ではないのである。要するに子どもなんだから。
今までは中学校に勤めていたのだから子連れの時に自分の学校の生徒と会うことはまず無いので映画館は気楽……なわけがなくて、エッチな映画を観ているときに(もちろん一人で)、後ろの方で卒業生が小声で「あれ、堀でね~?こんだ映画も観んなんのー」と語り合っているのを聴いた時には「他人のことが言えるか!あーこれはもう2時間振り返れないんだなー」と覚悟を決めたりして肩が凝ったこともあった。
今回は物理的に振り返ることが出来なかった。何しろ一番後ろで完全立ち見状態。今つとめている小学校の生徒(やっぱりいた)や息子は椅子と椅子の間から覗き見状態。家庭人を優先して私は息子にだけそぉ~っと最後のパイプ椅子を借りてしまった。職業人失格。生徒諸君すまん、せっかく礼儀正しく挨拶してくれたのに。
で、ゴジラ。賭けてもいい、復活以降の作品の中ではダントツに面白かった。昆虫好きの少年が出てきた時には「あ・またガキが余計なことをして世間が大騒ぎになるいつものパターンかぁ?」と警戒したが(俺、ホントに学校に勤務してるんだろうか、子ども嫌いか?)、そいつはあっさりフェイドアウトしてくれて、田中美里扮する自衛官を中心としたプロ対プロ(ゴジラは怪獣のプロ)のドラマに集約していく構成がいい。
その構成もそうだが、平成ガメラ3部作を経過しているくせにどうしてゴジラはこんなにつまんないんだ!との不満を多少は払拭してくれる特撮の出来。水没した渋谷の描写もなかなか。完全にミスキャストかと思っていた田中美里がちゃんと自衛官に見えるのは彼女自身の努力もあるのだろうが、時代劇や西部劇を意識した怪獣同士の対決も胸躍り、演出がかなりがんばったのだと思う。次作も楽しみだ。
「面白かったな、これ。」
「うん、20世紀最後の映画が面白くてよかったねぇ、お父さん。」
……私はジジイとでも観に来たのだろうか。
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