「ジャージー・ボーイズ」につづいてニュージャージーのお話。パターソンは街の名前であり、主人公の名前でもある。
グレートフォールズと呼ばれる滝で有名なこの街は、詩人アレン・ギンズバーグを生み、ボブ・ディランの「ハリケーン」で言及されてもいる。パターソン(スター・ウォーズをはじめ、ちかごろ大活躍のアダム・ドライバー)はバスの運転手。彼と街の一週間を描いたのが「パターソン」だ。
監督はジム・ジャームッシュ。
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」(通称ザンパラ)、「ダウン・バイ・ロー」「ミステリー・トレイン」などの先鋭さで世界の度肝を抜いた彼も、もう還暦を過ぎた。「コーヒー&シガレッツ」で渋いところを見せて以来わたしはごぶさただったけれど、こんなおだやかなドラマで驚かせてくれるとは(といってもほとんど何も起こらないのだが)。
目覚まし時計の音で一日がスタート。パターソンの隣には恋人のローラ(ゴルシフテ・ファラハニ……ものすごい美人のイラン人)が眠っている。通勤は徒歩。彼が他の運転手と違っているとすれば、一冊のノートに詩を綴っていること。
この詩がね、すばらしいんですよ。彼が才能にあふれていることは自明だけれど、パターソンはその詩を公表しようとはしない。ローラにはそれが歯がゆい。
そんなある日、グレートフォールズを見つめる彼の前に、ひとりの日本人(永瀬正敏)が現れて……
ほとんどセンスとニュアンスだけでできあがっているかのような映画。それでいて、見終わったときの満足感は半端じゃない。愛犬との散歩、バーでの一杯、傾いたポスト、恋人とのキス。パターソンの日常はルーティンでいっぱいだ。しかしそのルーティンのなかに、詩という形で幸福を観客は見つけ出すことができる。こんな映画もあるんだなあ。
こんな古い映画、どうやって探すんですか。
あるんですか(笑)
今なら動画配信でなんでも見れますよ。
そこまで行く気力がねえ
やっぱりそこまで好きじゃないんだ映画。