事務職員へのこの1冊

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「嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか」鈴木忠平著 文藝春秋

2022-04-23 | スポーツ

週刊文春に連載され、単行本化されていきなりベストセラーになったノンフィクション。

中日の監督に起用された落合博満

・キャンプ初日に紅白戦を行ったのはなぜか

・熟練の荒木と井端のポジションをコンバートしたのはなぜか

・日本シリーズで完全試合目前だった山井を降板させた理由は

・落合が監督した8年間に、中日はすべてAクラスにいて、日本シリーズに5度進出。日本一にも輝いた。それなのになぜ落合博満はこうまで嫌われたのか

・そして、監督を解任された本当の理由はなんだったのか

……次々に謎は提示され、まるでミステリのように読み解いていく過程が興味深い。それぞれに(少なくとも落合のなかでは)まっとうな理由が語られ、稀有な野球人だったと納得させられる。

落合の解任には中日新聞社内の派閥抗争が影響したとか、ノンフィクションとして確かに読ませる。勝ち続けることによってインセンティブが発生し、球団経営が苦しくなっていった経緯も説得力がある。また、名古屋の財界の意向が激しく影響したのだろうとも想像できる(立浪の就任に彼らは雀躍していることと思う)。

ただし、有望なドラフト候補やその取り巻きが希望球団として

「中日以外全部」

とコメントするような球団にしたのも落合なのだ。オレ流、のダークサイド。今度は、落合を忌避する側からのアプローチの作品も読んでみたい。

球春到来。2022年の中日は立浪新監督のもとで、今のところ勝ち越している。しかし、それは大島の好調さに依拠しているわけで、彼の年齢を考えれば、出でよ新人、とみんな願っているのではないだろうか。はたして落合がどんな下地をつくったか。心配する義理はないけどね。


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2 コメント

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抜群に面白いですよね! (onscreen)
2022-04-23 20:02:36
実は最近、ねじめ正一さんによる新書
「落合博満論」を読んだのですが、こ
ちらもなかなかに面白かったです!
返信する
え、ねじめ正一があ? (hori)
2022-04-25 21:12:40
そうだったのか。実はあの人は
酒田についても書いていてくれたので
うれしかったんだ。
それ、読みます。
返信する

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