事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「チャイナタウン」Chinatown('74)

2008-03-20 | 洋画

Chinatown   ここで告白。わたしが生涯を通じて愛する女優がいることを。それはフェイ・ダナウェイ。

 中学生の頃、今は酒田大火とともに消え去った名画座シネサロンで「俺たちに明日はない」(‘67)を観ていたときのことだった。

 オープニング、怠惰な日常を送る女が半裸でウォーレン・ビーティに出会う場面があり(はっきりとは描かれないがマスターベーションをしていた設定らしい)、その瞬間、横っ面をはりとばされるように「あ、これが大人の女なんだ!」と気づかされ、以降、彼女のことを冷静に観ることができなくなった。

 よくよくみればそんなに美人ではないし、身体だって(顔も)骨張っている。しかし冷徹にして激情を秘めた女性をやらせたら彼女の右にでる女優はいない。いてもわたしは認めない(笑)。

 全盛期は60年代後半から70年代の「華麗なる賭け」(‘68)「タワーリング・インフェルノ」(’74)そしてオスカーをとった「ネットワーク」(‘76)あたりか。一番美しかったのはロバート・レッドフォードと共演した「コンドル」(‘75)だと思う。

 彼女のキャリアの頂点は、しかしこの「チャイナタウン」(’74)だ。

 私立探偵の事務所を訪ねるわけありの女を、匂い立つような美しさで演じている。第一候補だったジェーン・フォンダではこの味は出ないだろう。若い頃は、あまりに設定が決まりすぎていてアメリカン・ハードボイルドのパロディかとさえ思ったが、30年経って見直すといかに凄い作品だったかと今さらながらに感服する。古典、と呼ばれる資格十分。豊潤な映像、耳から離れないテーマソング(追悼ジェリー・ゴールドスミス)、みごとな脇役の演技(ジョン・ヒューストンが魚を食べるシーンは最高)……そして主演のジャック・ニコルソンの色気ったらもう。

 思えば後年、「鼻翼を切られる私立探偵」(切ったチンピラ役は監督のロマン・ポランスキーがカメオ出演)が色んなところで引用されていることで、この映画がいかに愛されているかに気づくべきだった。なにゆえに「チャイナタウン」というタイトルなのかは30年経ってやっと気づきました(ラストのセリフに注目)。これこそ贅沢な映画だ。もう1回観ようっと。

Faye_dunaway ……08年現在、ポランスキーは巨匠となり、ニコルソンはアカデミー賞授賞式にかかせない“ハリウッドインサイダー”となったようだ。そのことは純粋にめでたいのだけれど(本当に、そう思っています)、製作者のロバート・タウンだけはねぇ。まもなく彼の著作「くたばれ!ハリウッド」も特集します。

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