PART2はこちら。
・逃亡中の理恵子は愛人の和賀に、お腹にいる和賀の子を産ませてほしいと懇願するが、和賀は冷たく拒否する。田所の娘との新生活に、愛人と子どもの存在は邪魔なものでしかなかった。
……しかしこの映画は、二人の争いを通じて和賀が「その子を不幸にしたくない」気持ちも裏側にあることを示唆している(少なくとも観客がそう推測するようにし向けている)。「父親がいなくてその子はどうなるんだ。」と和賀が主張し「あなたよりマシよ!母親のわたしがいるんだから」理恵子の主張は一種の誤解にもとづいているのだが、結果的に和賀の気持ちを追いつめる。
・亀嵩に赴いた今西は、土地の古老(笠智衆)から、三木巡査が在職中に病に冒された父親と、彼に付き従う男の子を保護したことがあることを知らされる。今西はその子どもの足取りを追い始める。
……いよいよ、ラストの巡礼につながる部分に入る。この親子の巡礼が故郷を出たのが昭和17年。戦中の話であることをわたしはすっかり失念していた。ここは、重要な点ではないかと思う。戦勝にわく日本の裏側に、実はこんな暗鬱な現実があったことを作者は静かに告発している。
・和賀との口論の後、理恵子は流産し、彼女も息を引き取ってしまう。しかしこの時点で和賀はその事実を知らず、のちに彼女のアパートを訪ねてしまう。
……事件解決の直接のきっかけはこの訪問だ。意外に地味。でも指紋というちゃんとした物証があったこともわたしは忘れていた。
・警視庁に捜査会議が招集され、今西がこの事件の経過を説明する。
……ここからがこの映画の本番と言えるようなものだ。ここから長いんだよな。丹波哲郎の説明と、和賀のコンサート、そして和賀親子の巡礼の様子が延々とカットバックされる。そして、この時点でやっと三木謙一を緒形拳が演じていることが明かされる。引っぱったなあ。
……ふう。あらすじを追うのってけっこう大変。でも構造を考えるのにすごく勉強になった。正義と善意の人である巡査の、ある親切が悲劇の引き金をひくわけだが、しかしこの映画には数々の欠点がある。次回はあら探しをしてみよう。
PART4につづく。
にしても「イマニシ インベスティゲーション」かあ。
そりゃまあ彼は捜査をしましたけど、よく考えてみると
有効打はそんなになかったような(^_^;)