劇団四季が嫌いである。大っ嫌いである。
公演を一度も観たことがないくせに断言するのも大人げないが、嫌いなものは仕方がない。なにしろ、浅利慶太のことが死ぬほど嫌いなのだ。
80年代中盤、戦後最低だとわたしが断ずる中曽根康弘の治世下、日本には寒気のするような雰囲気が満ちていた。衆参同日選挙で300議席を獲得し「(自民党支持を)レフトウィングにのばした」と中曽根が高笑いし、ロン=ヤス=サッチャーの保守トライアングルが世界を……なんか、今とそっくりですな。
浅利慶太は中曽根のブレーンとして(なんでこの二人が仲がいいのかは知らない)、演劇界だけでなく文化全般にわたって影響力を駆使していた。さだまさしや谷村新司といった“ニューミュージック”の連中(どこが新しいものか)は浅利にすりより、結果として中曽根政権を補完していたのだ。うー嫌な時代だったなあ。
浅利が主宰する劇団四季は当時ブロードウェイなどでヒットしているミュージカルを、臆面もなく輸入することで劇団のメジャー化を図っていた(まあ、設立の趣旨がそれだったんだから仕方がないとはいえ)。「ジーザス・クライスト・スーパースター」「美女と野獣」「ライオンキング」、究極が「CATS」ですわな。その一環として「オペラ座の怪人」もあったので、こんな映画観るもんか、と初手から偏見ありあり。
いや、すまなかった。素直に観ればなかなか面白いじゃないの。アンドリュー・ロイド・ウェーバーの楽曲は美しいし(現代のモーツァルトは言い過ぎだけど、「マスカレード」はいいよね)、金をかけまくった美術も素晴らしい。主演女優が「デイ・アフター・トゥモロー」のエィミー・ロッサムだってのもみんなもっと早く教えてくれなくちゃ(^o^)。
しかしいくら何でも展開はわかりやすすぎるし、ミステリとして観ると(そりゃ、不毛な見方だけれど)むちゃなストーリー。主演の男女ともに「わたしがいなければ生きていけないと言って」と歌い上げる厚顔さはさすがミュージカル。あれじゃあ怪人も立場ないよなあ。
ごめん。根がひねくれ者なので超メジャーにはつい文句をつけてしまいます。今回は偏見ありありだったなあ。え、いつも?
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