その2「昇任」はこちら。
江藤被告が県警の調べに対し、08年度の小学校教員採用試験について、約15人の点数をかさ上げしたと供述していることも判明。1次と2次を合わせ1000点満点の試験で、最大で百数十点加点した受験者もいたという。江藤被告は上司から約20人を合格させるよう指示されたが、5人ほどは合格圏内だったため、残る約15人に加点。さらに合格ラインに達していた他の10人ほどについて、点数を減らし不合格にしたという。
県教委義務教育課によると、江藤被告は1次試験の合格ラインの設定に中心となってかかわっており、事実上、合否リストを作成する立場だった。
江藤被告は07年度の小学校教員については15人以上の点数をかさ上げし、2年間で30人を超える受験者が不正な操作によって合格したとみられる。
読売新聞7月9日
この、人事事務のキーマンだった江藤被告になっていきなり不正が開始されたと考える人は少ないだろう。彼だけが“不正をやってくれそうだから”上司から声をかけられたはずがない。前任の“参事”や、前の前の“審議監”(大分には偉そうな職名が多いんだねえ)は確実に捜査対象になっているはず(実際、ボロボロ情報が流出している)。
関係者のほとんどが、ある時期に同じ市で勤務していたり、あるいは同僚だった事実から考えると、話は人脈の問題になってくる。おそらく大分には古くから特定の人脈が存在し、権勢を誇っているのだろう。そして採用や昇任で影響力を発揮することで、その人脈はますます強固になっていくわけだ。
加えて大分には【議員枠】なるものがあるそうで、複数の県議がはたらきかけを行ったことが報じられている(おまけに【県教組枠】まであるってよ!)。つまり、このグループが議員や組合に貸しをつくることで県教委はずいぶんと有利に施策をすすめることができたのだろう。だから江藤被告が「(不正操作を断ったら)出世コースからはずれてしまう」ことを怖れたのは理由のないことではない。汚水を拒否すれば、強固なお仲間グループからはじき飛ばされるわけだし。
こうして、身内の、身内による、身内のための県教委が形成された結果、もしもスキャンダルが発覚しなくても、内部の腐敗は覆いがたいものになっていたはずだ。内部告発はたまたま噴出したきっかけにすぎない。
さて、それでは大分以外にこんな事例はないのだろうか。以下次号「澱んだ水」につづく。
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