さて、鹿児島の事例だが、これはすごいよなー。職員の同意もへったくれもなく、60年間引き去りっぱなし。しかも天引きした電話料を一般会計に計上していたんだからこりゃ確信犯だ。おまけにその額700万円とくればこれは確実に職員から“吸い上げ”ているとしか言いようがない。笑ったのは川内市の「使った分の自己申告の額を給与から控除している」という事例。こんなにまでして意地でも控除しなけりゃならない風土っていったい……。ん?でもそれじゃあ酒田はどうなんだろ。毎月私用電話料を袋に入れて教育委員会に外勤で送ってるんだけど(あ。そういえばここ4ヶ月ぐらい送ってないなあ)、その先はどう処理されているんだろう。まさか一般会計に……こんどきいてみよう。
それにしても、だ。この53才の職員が問題にするまで、60年間誰も文句を言わなかった市職員たちもどうかと思う。どんな経緯でこの引き去りが始まったのかは知らないけれど(鹿児島市が職員について性善説をとっているか性悪説をとっているかすら判然としない。50円で私用電話かけ放題かぁ、ととる読者もいたし)ま、そんなもんかな、で過ごしてきたのだろう。天引きの怖さはここにもある。“最初から引かれてあるもんだからそいつが手取りと妙に納得してしまう”こと。これが総務あたりが毎月現金で徴収して歩くのならもっと早く問題化したろうに。
同じことが税金にも言えて、源泉徴収の件は年末調整の時期に情宣でやるけれど、サラリーマン全体が“なんとなく(税金について)納得してる”のはこの制度のせいなわけで、これが全員申告して同じ額を一気に納付することになったら、さぞや税金の使い道についてもっとシビアになってくれるだろう。このままサラリーマンが寡黙なタックス・ペイヤーでいることは、この国のためにならないって。
と、話を大きくしなくても、この鹿児島市の職員、たいしたアジテーターである。どう考えても地元紙にチクったのはこの旦那だろうし、給料と期末勤勉手当の受け取り拒否なんてタクティクス、今までのどんな労働組合も考えつかなかったんじゃないか。考えついてもやれるわけないけどさあ(笑)。おかげで全国紙から注目され、この流れだと天引きも中止されるだろう。やるなあ。いったいどんな人なんだろう。かなりつき合いづらいタイプだろうとは思うけれど、若い職員から相談されたことで一念発起したというのが本当だとすれば、こりゃー本物の薩摩隼人なのかも。いやまさか(笑)。
画像は「戒厳令」(ATG ‘73)
これはデンゼル・ワシントンが出るやつではなくて、アートシアターギルドが傑作を連発していた頃の暗ぁい“政治映画”。こーゆーのが趣味なんだ。悪いか。
ラスト、二二六事件に連座して処刑される北一輝(三国連太郎)に、憲兵が「先に処刑された連中は『天皇陛下万歳』と叫んで死んでいったぞ。君はそうしないのか」と訊くと、「私は、死ぬ前に冗談は言わないことにしている」と答える。
脚本別役実。監督吉田喜重(奥さんの岡田茉莉子が製作)。近頃こんな映画、誰も作ってくれないもんなあ。
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