きっと、怒られることと思うので先に言っておきます。わたしはこの映画を観るべき観客ではありませんでした。
「かもめ食堂」や「めがね」など、いわゆる“もたいまさこ一座”の作品群は、一種のブランドとして確立している。妻も大ファンだ。今回も、京都の街をひたすらに歩くもたいまさこを一種の天使のように(あるいは放浪する悪魔のように)描き、小林聡美、市川実日子、小泉今日子、加瀬亮をまわりに配置して盤石の体勢。
彼らの家族は意識して排除され、光石研演じる銭湯のオヤジの赤ん坊が“街のみんなが育てる子ども”としてラグビーボールのように各登場人物のあいだをパスされる。
小林聡美はカウンターのみのバーを営んでおり、ウィスキーしか出さない。タイトルのマザーウォーターとはウィスキーの仕込み水のことであり、このバーで供されるブランドはサントリーの「山崎」。京都の地酒ともいえる。水割りを慎重につくり、コースターなしにカウンターにそっとグラスを置く所作は自然だ。
独居老人であるもたいまさこは、タケノコを量り売りするような地元の店で買い物をし、きちんとした食事をひとりで重ねている。
小泉今日子は喫茶店を切り盛りしていて「同じ味のコーヒーをいれることはむずかしい。でも、それでいい」と語る。「ちょうどいい、って人によって違う」とも。
市川実日子は朝早く起きて豆腐をつくり、街の人間のリクエストに応えて店先で出来たてのお豆腐を食べさせてくれる。姿勢のいい彼女が働く姿は美しい。
でもね、と思う。でもね。
彼女たちの生活はたしかにすてきだ。あこがれる人もたくさんいるだろう。でもね、地産地消で、エコで、アースコンシャスで、おまけにヒューマンコンシャスなシーンの積み重ねは、うす汚れた中年であるわたしを息苦しくさせた。
彼女たちの生活が清潔で、静かで、道徳的であればあるほど、どうにも居心地が悪い。彼女たちの発するセリフが、まるで激烈なアジテーションのようにも感じられたのだ。
つまりドラマとしてうまくこなれていないのだろう。間(ま)の取り方など、微妙にずれていて疲れさせられた。赤ん坊の母親の登場のさせ方なども、ひねってあるだけにかえって……むしろ無声映画にしてもらった方が、とは無いものねだりだろうか。それじゃあこのブランドに資金提供し、利益をあげようとした各企業が困るか。すみません汚れた中年の皮肉でした。
そんなわたしも、映画館からの帰りに我慢できずにコンビニでお豆腐とウィスキーを買っちゃいました。山崎は高いので角瓶だったのが泣ける。
ウイスキーブームだからか、若い人が多かったですねー。
私は全くウイスキーに興味はないのですが、ダンナが
好きなので(小雪が宣伝する前から、角瓶ハイボールが
お友達)お付き合いといったところです。
工場見学の最後にハイボールのサービスがあるのですが、
ダンナは『これ一番安い山崎じゃん』(ハマっこです)と少々怒り、
(無料のものに、文句言えた義理じゃないですが)
あとで有料のテイスティングコーナーで飲みなおしてました。
全然映画とは関係ないですね、すみません・・・
旦那ナイス。
わたしも今は芋焼酎ばっかり飲んでますけど、
いちばん好きなのはウィスキーですよ。
でも最大の弱点は“うますぎる”こと。
飲み始めるととめどなくなってしまうので……
この映画におけるウィスキーは、でもあんまり
おいしくなさそうだったのが残念。
もたいまさこは食べすぎ(笑)
京都のタケノコはおいしいんでしょうけどね。