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北京オリンピック熱が一段落して、日本のマスコミの悪いクセ、戦犯たたきが続いている。日本的結果論パターン。端的な例が星野だろう。金メダルしかいらないと広言したくせに(ホントにこんなこと言ったのだとすれば自業自得だが)、韓国・キューバ・アメリカに一勝もできずに惨敗。コーチ陣も含めて“男を下げた”(この形容も日本的)のはすでに特集したとおりだ。その後、星野采配については出てくる出てくる新ネタが。
・ダルビッシュを軸にするはずだったのに、最後の登板が敗戦処理的な扱いになったのは、奥さんを同じホテルに泊めたことが星野の逆鱗に触れたから。
・出場するかどうか迷っていた稲葉に、星野は直接電話をかけて「早く決めろ!」とどなりつけた。
……いかにも、星野らしい話だ。しかしよく考えてほしい。もしも星野ジャパンが金メダルをとっていたら、これらは一種の美談として扱われていなかったか?別の例がソフトボール。今大会のMVPは上野で決まりだが、開会式後にこんな報道があったのである。
<北京五輪>ソフトボールの一部選手に口頭注意 開会式
8月9日 毎日新聞
北京五輪の日本代表選手団本部は9日、前夜の開会式の入場行進中にソフトボールの一部選手に「公人としてふさわしくない行為があった」として、口頭で注意したことを明らかにした。同本部によると、一部の選手が行進の隊列から外れ、五輪旗などの掲揚ステージに上がり、手を振るなどした。他国の中にも同じ行為をした選手がいたというが、日本オリンピック委員会が定める「日本代表選手団としての規範」にある「代表選手団は公人であり、すべてに規律ある行動を行う事」の条項に抵触すると判断した。開会式を終えて選手村に戻った後、日本選手団の上村春樹総監督が、ソフトボール代表の井川英福チームリーダー、斎藤春香監督に注意を促した。井川チームリーダーは9日朝、「反省している。グラウンドで精いっぱい、活躍したい」と話した。【堤浩一郎】
……ね?ソフトも惨敗していたら、緊張感の足りない競技もあった、なんて指摘がこの競技にも及んでいたに違いない。バカバカしい条項こそが指弾されるべきだとわたしなどは思うけれども。
話をアフガニスタンの事件に強引にもっていこう。ペシャワール会のやっていた灌漑工事、および農業指導のボランティアは彼の地においてずっと評価されてきた。現地代表の中村哲氏は「甘さがあったかもしれない」と語ったが、彼はそのクールな視点で、自衛隊がアフガニスタンにやってくることを常に批判し続けていた人なのだ。前から活動してきたNPOのリスクが高まる、と。
結果は懸念したとおりになったので、本来であれば中村氏はマスコミに向かってもっと怒りをぶつけたかったはず。伊藤さんは“殉職”したからみな同情している。しかしこれが“誘拐”だったら?「I don't want to die」で特集したように、日本人は自己責任論をふりかざしてペシャワールへの批判をくり返したのではないか。もちろんもっとも憎むべきは伊藤さんを殺した人間、および勢力だ。なんでもかんでもアメリカのせいにするほどわたしも若くない。しかしなんでもかんでもアメリカに追随していることの愚を、わたしたちは常に意識しておかなければならないと思う。伊藤さんは、まちがいなくその愚劣さの犠牲者なのだから。“終わってから”指摘することの恥ずかしさを、わたしはいま感じている。
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