第四十八回「引鉄」はこちら。
あ、と思いました。
そうか最終回前にいろんな伏線を刈り込みまくった「前夜」で、三谷幸喜はこれをやりたかったのか。まるでスペンサー・トレイシーとキャサリン・ヘップバーン(彼らの不倫は誰もが知っていながら、誰もが彼らを尊敬していたために報じられなかった)のような、武骨な男と強気な女性のキス。
やられたなあ。男は信繁で女はきり。一年間、このふたりのラブストーリーでもあったとつくづく。視聴者みんなが(うぜーと最初は不評でもあったけれど)きりちゃんがんばれと応援してきた甲斐があったというものだ。
前回の視聴率は16.1%と、ついに「逃げ恥」に追いつかれた。三谷は朝日新聞の連載で、ようやくオンエア時だけの視聴率から、“総合視聴率”という、録画も含めた形での計測が行われたことを歓迎している。作り手の側はそれ言わない約束でしょ、と彼だって思っていたに違いないのに、言わずにおれなかったのだろう。彼がこのドラマに自信をもっていることの裏返し。
今日も素晴らしかった。伏線の数々とは……
・秀吉のためにずんだ餅をふりまいていた伊達政宗は、同じことを信繁の妻と子に行い、信繁へのリスペクトを示す。
・真の裏切り者が織田有楽斎ではなかったことで、「古畑任三郎」「オリエント急行殺人事件」の作家であり、ミステリがお手のものであることを証明。
・姉の松(木村佳乃)は、まさしく祖母のとり(草笛光子)の再来のように、信幸の言葉が聞き取れない。
・そして「黙れ!小童!」を、まさかまさか室賀の息子(西村雅彦にそっくり)に向かって叩きつけることになろうとは(笑)
あまりにおみごとなので、終焉前夜であるとつくづく。うー。今回の視聴率は、17%超えと強気に読みました。
第五十回「最終回」につづく。
からみにグッときています。
三谷はひとりっ子なので、そういう関係性に
かえって敏感なんでしょう。
私が3兄弟なので、松さんが「またいつか3人でお茶でもしながら」と言ったセリフに泣いてしまいました。真田家は叔父さんも含めて、一族のきずなが(ほんとかどうかは知りませんが)書かれてるのは、三谷さんの願望なのか、どうか。
いかがなものかと思いましたもんね。
彼女こそが物語を推進してるのに。
大蔵卿は大蔵卿として魅力あるけど(笑)
ほっと一安心。
きり役が、なぜ長澤まさみだったのかも 謎か解けたような想いです。