第1回「保険料控除」はこちら。
言うまでもなく政治家の仕事は『税金をどう集め、どう使うか』を決めることだ。そう考えれば、この国の税制には『日本国民がこうあってほしい・こうあるべきだ』という意味が込められているはず。前号で保険料控除を特集したけれど、控除には他にも「扶養控除」や「住宅取得控除」などがある。
つまりこう考えているのだ。日本国民たるもの、老いた両親と同居して生活の面倒をみ、生命保険や損害保険に加入して医療負担や無年金状態にみずからそなえ、そして積極的に金融機関から借金をして家を建てなさい、と。
しかし裏を返せば、これらは日本の医療負担が大きく、年金などの社会保障が不十分であることを所得控除という形でフォローするものだし(完全な社会保障が達成されていたら、誰も生命保険には入らないわけだけれど)、延長に延長をかさねた住宅取得控除は歴然とした景気対策だ。
ただ、これらの控除は機械的に課税したのでは不公平が生じてしまうことを調整する意味合いもあるのだが、もっと根幹にかかわる問題をはらんだ控除が存在する。
給与所得控除だ。
クロヨン、とかトーゴーサンピンということばをご存じの方は多いと思う。これは所得の捕捉率を揶揄する隠語。
つまり自営業者などにくらべてサラリーマンは所得を全部把握されているから圧倒的に不利じゃないか、というわけ。
どっこい現実はそんなに単純ではないのだった。収入総額(農業所得者の売り上げ、にあたるだろうか)にたいする給与所得者の必要経費として認められる部分が給与所得控除だが、これが意外にでっかいのだ。
たとえば年収800万円の教員の場合、800万円×10%+120万円だから200万円。これだけの必要経費が教員としての職業をおこなう上で認められていることになる。年間200万、ってことは月額にして17万ぐらい。
170、000円!どこの世界にそんなに燃費のわるい教員がいるもんか。毎月アルマーニが買えるじゃないかっ!
02年12月3日付情宣さかた裏版より。
第3回「源泉徴収」につづく。
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