事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ロング・グッドバイ」(2014 NHK)その2

2018-03-08 | テレビ番組

PART1はこちら

めんどくさいので役名はすべて原作から引用しますが、舞台は50年代の日本に移し替えてある。マーロウ(浅野)は、富豪(柄本明)の娘である女優シルヴィア(太田莉菜)に足蹴にされたテリー・レノックス(綾野剛)を事務所に連れて行く。彼に手を差しのべたのは、彼にはどこかしら品があり、礼儀正しかったからだ。レノックスはマーロウに私淑し、

「あなたのようになりたい」

とつぶやく。自分のルールを守る、自立した男に。

その望みは、レノックスの妻シルヴィアがベッドで惨殺されたことによって絶たれる。レノックスはマーロウに救いを求める。メキシコならぬ、台湾行きの船まで送ってくれと。その夜、さまざまな“長いお別れ”があったことが次第に明らかになっていく……

のちにマーロウと結婚することになるリンダ・ローリング役に冨永愛。アル中の流行作家に古田新太、その妻に小雪、といった具合に雰囲気のある役者が起用されていてすばらしい。初回のオープニングにしか登場しない歌姫に福島リラを選ぶなど、ハリウッド組を意図的に集めたのだろう。アメリカンハードボイルドをニッポンで描くために。

演出はすべて堀切園健太郎。特に女優を美しく撮っていてうれしい。前から好きだった小雪の喉、冨永愛の強力に魅力的な脚など、お好きなかたにはたまらんでしょう。わたしもたまりませんでした。もちろん、浅野忠信の不敵な感じも絶妙。

渡辺あや脚本は、チャンドラーの苦みを日本で成立させるために、悪であることが自明なのに民衆から支持を受ける柄本明(モデルは正力松太郎なので原発を推進しようと力説している)に、ひとりマーロウが背を向けるラストを用意することで骨のあるドラマになっている。堪能いたしました!

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ロング・グッドバイ」(201... | トップ | 「盤上の向日葵」 柚木裕子... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
NHKドラマ (mumioli7)
2018-03-09 21:31:15
本放送の時に見ました。
光と影の使い方がうまいなーと思ったのと、全く好みでない(爬虫類顔が嫌い)綾野剛がよく見えました。
浅野忠信も「バタアシ金魚」の時からずいぶん変わりましたよね・・
これに限らずNHKドラマは掘り出し物多いです。
最近だと「奇跡の人」が面白かったし、いまBSでやってる「弟の夫」(誤字ではない)も評判いいようです。
返信する
本気 (hori)
2018-03-10 10:11:36
NHKが本気出すとさすがに
すげえなと。
美術のこだわりもはんぱなかったもんね。
わたしは福島リラや冨永愛の
宇宙人顔が大好きです(笑)
返信する

コメントを投稿

テレビ番組」カテゴリの最新記事