まだ二十代のニュージーランドの青年が、アメリカを舞台に描くクライムアクション。なんて達者なんだろう。
かつて潜入捜査によってマフィアのボスを葬り去り、証人保護プログラムによって別人としての生活を送っている元刑事。異常な性癖を隠そうともしない殺人鬼。生活者としての常識にさいなまれながらプロとして仕事をこなす殺し屋。息子を亡くしたことで精神が不安定でありながら、有能さを隠すことができない麻薬課の女性刑事……んもうみんなキャラ立ちまくり。
チャプターごとにそれぞれの一人称で語られるあたりがいかにも正統派ハードボイルド。主人公が、ある女性を救おうと表舞台に復帰する動機があまりにも薄弱で、だからこそすばらしい。
耐えて耐えて耐えて、そして最後に相棒と決死の場に向かう……ってこれ東映任侠映画じゃないか。健さんと池部良ですかっ。「アメリカの血」であると同時に日本人の血もたぎらせてくれる興奮の書。
わたし、山形のホテルで一気読み。ひとりで泊まっているのにダブルの部屋だったさみしさ(笑)を、振り払ってくれました。ブラッドリー・クーパー主演で映画化とか。相棒は渡辺「謙さん」にしてください。
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