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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「アメリカン・スナイパー」American Sniper (2014 WB)

2015-02-25 | 洋画

Diana Krall - Why Should I Care

うちの奥さんは近ごろサスペンスに凝っていて(怖がりなくせに)先日は「フレンチ・コネクション」、今週はヒッチコックを集中的に。

そんな彼女がイーストウッドの「トゥルー・クライム」を見た途端、わたしにメモを渡してきた。「この曲をディスカスして」と。彼女が感動したエンディングテーマはダイアナ・クラール(エルヴィス・コステロの奥さん)のWhy Should I Care。確かに、美しい曲だ。作曲はイーストウッド自身。

イーストウッドの音楽熱は本格的で、レーベルまでもっているし、近年の作品の多くで彼の曲を聴くことができる。「グラン・トリノ」のエンディングはことのほか素晴らしかった。

そんなイーストウッドの最新作「アメリカン・スナイパー」においても、彼は主人公の妻(シエナ・ミラー)タヤのテーマソングを書いている。では、このハードな戦争映画のラストでクリント・イーストウッドはどんな“音楽”を流したか。

無音。

長いスタッフロールを、観客はただ見つめるだけ。自信作であることもあっただろうし、観客に「考えてくれ」と懇願しているようでもある。

イラク戦争の英雄的狙撃者を描いたこの作品で、イーストウッドはとても公平だ。160名以上を射殺し、“伝説”と呼ばれたクリス・カイルは、敵からは“悪魔”と呼ばれている。戦争で次第に心を病んでいくクリスにとって家族は心の支えだが、オリンピックの金メダリストである敵のスナイパー、ムスターファにも家族がいる場面が自然に挿入される。

レッドネック(アメリカの貧困白人)を演じるために体重を大幅に増したブラッドリー・クーパーがとにかくすばらしい。彼だけでなく、出演者がみんなイーストウッドの作品に参加できる喜びにあふれている。銃器を扱う細かな動きまで気合い入りまくり。

それにしたってですよ、イーストウッドの作品といえば、良質ではあるけれども大ヒットにはならないのが通例なのに、もう北米で3億ドル以上稼いでいる。2014年公開の映画で最高の興行収入なのだ。わたしのベストワンと興行収入トップが一致するとすれば、まことにうれしい。これ以上の作品と今年出会えるとは、ちょっと思えないしなあ。

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2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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この (sakurai)
2015-03-19 09:28:45
突きつけられ方には、ぐうの音も出ません。
私たちは、きっちり受け入れる勇気を持たないとならない!そんな思いを抱かせられました。
音楽封印ですもんね。なんて奴でしょう、イーストウッド。
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ですよねー。 (hori109)
2015-03-19 19:43:34
そんな真摯な人間たちもいるというのに、
日本の国会のあの軽さはなんでしょう。
今度は八紘一宇ですってよ。
「戦争を知らないものほど、戦争を語りたがる」
イーストウッドの言葉はやはりしみます。
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