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もちろんその取り引きの場に松本とニックはいて、菅井からショットガンの提供までうけている。佐藤を、屠れと。若山富三郎の台詞回しは絶妙で、字幕なしでつぶやく本音がいい。
「(ニックに向かって)殺したろかこのガキャ」
いいですなあ。
四人の親分が先に現れる。彼らはいかにもやくざなアメ車に乗っているが、あとからやってきた佐藤は渋いベンツ。新世代であることを車で表現。
5人が会うのは陋屋に近い建物。窓から強い陽光が差し込んでいる。まるっきり黒澤時代劇である。
この会見の目的は、佐藤を親分衆の一員に加えるかの協議。つまりは杯(さかずき)の問題。やくざと、杯とくればやることはひとつ。
「佐藤、けじめだけはつけんかい」
久しぶりに見る指つめの儀式。松田優作はいかにも運動神経がいい感じで小指をズブリと切り落とす。やくざ映画になれていない人は気が遠くなるかも。この映画、もちろんR-15です。
本来であれば建物のなかにいるはずの(笑)任侠映画のヒーロー高倉健は外にいる。かつてロバート・ミッチャムと共演した「ザ・ヤクザ」においては、岡田英次に襲いかかる瞬間が決まっていたが、世代交代が進んで今度はやくざを狩る立場になったわけだ。
そして、優作が指を失ったことがこの後のバイクチェイスにちゃんと影響するあたり、周到な脚本だ。以下次号。
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