事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

SWING GIRLS('04)

2008-03-20 | 邦画

Swinggirls   馬鹿にしようと思えばこれほど楽な映画も珍しい。
・企画は「ウォーターボーイズ」の二番煎じ。
・ほとんどのギャグが上滑り。
・脚本にもうひとつひねりがないため、“子ども嫌いの教師が教え子への愛にめざめる”サブストーリーが効いていない。
・ガールズ&ア・ボーイの演技が素人同然(ほとんどが素人なんだから仕方がないとはいえ)。

実際、矢口史靖の演出は下手くそもいいところ。「ウォーター~」は、二度見るとよくわかるが、はっきりと不出来な映画といってよかったし、多少ましになっているとはいえ、今作も完成度は低い。
でも、この映画には『男の子のシンクロナイズドスイミングを女の子のビッグバンドジャズに置き換えた青春映画』以上の“何か”が確実にある。

食中毒で吹奏楽部がダウンしたため、とりあえず補習をさぼることもできるし、と始めたジャズなのに、吹奏楽部が帰ってきた途端お払い箱になり、強がりながらも号泣してしまう彼女たち。なんでこんなに一生懸命になっているか自分たちでも理解できない……十代でなければおよそありえない瞬間をみごとに画面に定着させているのだ。キャスティングの貢献も大きい。主演の上野樹里(テナー・サックス)や豊島由佳梨(ドラムス)など、有望な新人がこの作品をジャンプ台にスターになるだろうが、いちばん最初にブレイクしそうなのがメガネ美女本仮屋ユイカ(トロンボーン)。いきなり朝の連続小説のヒロインに抜擢とは。

Swing_girls_c 山形県人としていろいろと考えさせられる部分も。矢口が標準語で書いた脚本を、フジテレビのわれらが武田祐子アナが山形弁に訳したら、訛りすぎて字幕が必要なため、しかたなくもっと柔らかい置賜弁にしたってか(笑)。そしていつも見る山形の風景が、これほどまでに美しいとは。いい意味で部活そのまんまな映画。でもさー、隣の学校の事務職員から「ウチの親戚の爺さんバスの乗客の役で出っだなよ。見で来てのー」そんなもん判別でぎねーずっ!

※2008年現在、この映画から飛び出した少女たちの活躍は予想以上。のだめで月9の主役をはった上野樹里、近年最高の(視聴率は低いけど)朝ドラ「ちりとてちん」の貫地谷しほり(トランペット)……矢口監督の、少女たちを見る目だけは確かだったのだ。

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