事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

日本の警察~その44「東京影同心」 杉本章子著 講談社

2012-01-09 | 日本の警察

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東京影同心 (100周年書き下ろし)
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:2011-01-14

その43「機龍警察」はこちら

明治元年、江戸町奉行所は市政裁判所と名を変え、のち、東京府に移管されて、完全に姿を消した。慶応三年、二五歳で異例の出世をし、南町奉行所定回り同心となった金子弥一郎。お役大事で、まじめに生きてきたこの男にも、コロリの流行、桜田門外の変、彰義隊と、文久、慶応、明治の大変動が襲いかかる。「八丁堀」が消えた明治の世になって、捕り物一途の男が見せる、己れと世の中につける決着。

いや、影同心とはいっても山口崇や渡瀬恒彦が必殺シリーズのぱくりでやっていたあれとは全然関係ないですよ。たとえが古すぎるけど。

タイトルからもわかるように、江戸から東京と名を変えた時代。八丁堀と呼ばれた奉行所は、そしてお上のご用を勤めていた同心たちはどう変貌したか。実は心の中では同心の魂を捨てていない主人公と、寄り添う芸者の粋さがいい。

つまりどうしたって時代にうまく乗れない人間の方が(愚かな生き方にしても)美しいと作者は語っているようだ。もっとも、反政府として駿府に移住して辛酸をなめた人間たちの悲惨さもまたリアル。

畠中恵の「若様組まいる」より少し前。薩長に恭順することがどうしてもできず、どう身を処せばいいか判然としないためにとりあえず居候をきめこむ正義漢。

この男のまっすぐさを、性格のきつい芸者が愛してやまないあたりのラブコメ具合がなんとも。信太郎シリーズが終わった今、こちらのシリーズ化を切望。

その45「警視庁FC」につづく

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