機龍警察(ハヤカワ文庫JA) 価格:¥ 756(税込) 発売日:2010-03-19 |
その42「烈日~東京湾臨海署安積班」はこちら。
大量破壊兵器の衰退に伴い台頭した近接戦闘兵器体系・機甲兵装。『龍機兵』と呼ばれる新型機を導入した警視庁特捜部は、その搭乗要員として姿俊之ら3人の傭兵と契約した。閉鎖的な警察組織内に大きな軋轢をもたらした彼らは、密造機甲兵装による立て篭もり事件の現場で、SATと激しく対立する。だが、事件の背後には想像を絶する巨大な闇が広がっていた…
誰だって「機動警察パトレイバー」との類似に気づくはず。警察官がロボット(パトレイバーでは『レイバー』、この作品では『キモノ』)のなかに入って、同様にパワードスーツを使用した犯罪に立ち向かう……ここまでは、共通。作者の月村了衛はアニメ系の脚本家出身だから、そう指摘されるのは覚悟の上だろう。
だからこそ、この小説はパトレイバーとの、ロボットアニメとの違いを最初からあからさまにする。人が、ものすごい勢いで死んでいくのである。犯罪者や警察だけでなく、無辜の民ですら無惨に。よい子は読んではいけません宣言(笑)。
ただし、ひたすらにクールで、毒をもって毒を制す的主役チームのキャラ設定は思いきりアニメ調。ほとんど攻殻機動隊。草薙素子とバトーそのまんまとすら。
本格的な始動は第二作のようだし、今回はお披露目か。実際の警察隠語と作者オリジナルの混在など、「日本の警察」ものとして楽しめそうなシリーズ。うれしい。
その44「東京影同心」につづく。