昭和天皇の玉音放送に始まる、終戦直後の台湾の大家族の物語。感動。今までに何本映画を観たかわからないが、確実に私のベスト3に入る。他の2本は……えーと「ロング・グッドバイ」(R.アルトマン)と「メイド・イン・ヘブン」(A.ルドルフ)だろうか。
“向田邦子が脚本を書いて小津安二郎がゴッドファーザーを演出したら”こんなふうになるだろう四兄弟の悲劇。同じハオ・シャオシェン監督の「恋恋風塵」でもいい味を出していたシン・シェーフェンが、聾唖の四男(トニー・レオン)に恋する姿がいじらしいし、兄弟全員が消えても、いつも通り食卓を囲む大家族のありように民族の底力を思い知らされる。
何よりも、緑濃い台湾の田舎の風景それ自体が強烈にこころを揺さぶる。なにごとも起こらないシーンで観客に訴えかける力。演出、とはこれだ。日本人が台湾に何をしてきたかを知る上でも必見。ロケ現場は今や観光名所になっているそう。完璧な映画。ぜひ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます