事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「その女アレックス」 ピエール・ルメートル著 文春文庫

2015-01-22 | ミステリ

このミステリーがすごい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「ミステリが読みたい!」えーとあとなんだっけ、とにかくミステリランキングのトップを総取り。全部で6冠を獲得した、噂のフランス製ミステリ。

「この作品を読み終えた人々は、プロットについて語る際に他の作品以上に慎重になる。それはネタバレを恐れてというよりも、自分が何かこれまでとは違う読書体験をしたと感じ、その体験の機会を他の読者から奪ってはならないと思うからのようだ」(「訳者あとがき」より)。

……なるほど、そうなります。ネタバレがあるとわかった瞬間にネタバレになっちゃいますもんね。美しい女性が、突然何者かによって拉致され、『少女』という拷問具に閉じ込められる。こんなオープニングなのだから、犯人を追いつめる警察とのタイムレースとか、自力で脱出する活劇を誰だって予想する。ところがところが……え、この時点でこの人が消えちゃうの!?

フランスのミステリといえば、ポプラ社だったかから出ていたルパンもの(南洋一郎さんの訳ね)をのぞけば、「オペラ座の怪人」で有名なガストン・ルルーの「黄色い部屋の秘密」を最初に読んだかも。高名な密室トリックはすっかり忘れているんだけれど、登場人物たちの因縁が延々と語られるラストはよくおぼえている。「その女アレックス」も……ああこんなことがすでにネタバレになっちゃうか。

ちび(145㎝)、でぶ、ケチ、大金持ちと個性ありまくりの刑事たちの造型もわかりやすく、Alexというそっけない原題に「その女」をくっつけた邦題も作品のテーマにそっている……あああこういうこともやっぱりネタバレかしら!

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