原題はBig Hero 6。すんげーヒーロー6人組、ぐらいの意味だろうか。マーベルの地味なコミックが原作らしい。このタイトルには、実は主人公の名前がうっすらしこんである。その少年の名はヒロ(Hiro)。住んでいるのはサンフランソウキョウという、サンフランシスコと東京のキメラみたいな都市。
ヒロは天才少年で、そのあふれる才能の行先を見つけられないでいる。そんなヒロを兄のタダシは大学に連れて行き、ロボットオタクたちの研究の奇天烈さを見せつける。ヒロは発奮し、大学に入るためにマイクロボットという変幻自在の機械を発明するが、そのプレゼンテーションの会場で謎の爆発が起こり、タダシは命を失う。残されたのはタダシが研究していたベイマックスという医療ロボットだった……
この、ベイマックスの造形がすばらしい。極端にシンプルな顔、ぽよぽよの質感、そして使用者への圧倒的な善意。もちろん日本には猫型ロボットという先輩がいるけれど、ベイマックスのフィギュアもきっと売れるな。
6人組の壮絶なアクション、CGのためにあるようなマイクロボットの変容など、レベルの高い映画であることは確かで、ベイマックスにこめた兄の想いなど、二十歳で亡くなったわたしの兄もタダシだったこともあってひたすら泣ける。
ただしね(シャレじゃないです)、どうにも心躍らないんだなあ。華麗なアクションが目の前で展開していても、完璧なジャパネスクな風景に驚かされても(づぼらや的なフグ提灯には笑いました)、物語に入りこんでいけない。いったいどうしてなんだろう。
全世界でバカヒット。「アナ雪」「マレフィセント」「ベイマックス」とディズニー絶好調。ピクサーでなくても十分にやっていける地点についに来た……でもね、やっぱりピクサーほどの“ハート”はまだないんだと思う。まあ、製作がジョン・ラセターなんだからいっしょじゃんという理屈もあるでしょうけどね。
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タダシ君が事故で亡くなるのはわかってたけど、展開的にどうだろうなあって思った。
でも、十分にレベルは高いです。
ジャケットを着て昆布茶の缶を持ってタバコを
吸っている中年男……これ、冷静になれば
ルックスはベイマックスよねとしみじみ(笑)