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YouTube: Saving Private Ryan (1998) - Official Trailer
初見のときよりもはるかに感動した。
まだストーリーをよく理解していないうちは、はたして最初に出てきたおじいさんは誰なのだろうという興味でひっぱるが(周到なスピルバーグのことだから、彼がマット・デイモンかトム・ハンクスなのか判然としないように撮ってある)、小隊が最後にどうなるかを知ったうえで見ると、彼らの行動がいかに微妙なバランスの上にあったかがよくわかる。
息子三人をほぼ同時に失った母親。末子は行方不明。軍の上層部はリンカーンの手紙を引き合いに(スピルバーグはその名も「リンカーン」でふたたびオスカーを狙っています)、末子=ライアン二等兵の救出(原題Saving Private Ryan)を小隊に命ずる。しかしその任務は敵地の奥深くまで行かなければならず、ひとりの人間を救うためにどれだけの犠牲が必要なのかというジレンマが常につきまとう。
上層部の理屈も平和な日本の観客は理解できるし、消耗品あつかいされる小隊の怒りもよくわかる。そこを納得させるのが小隊長トム・ハンクス大尉のセリフだ。小隊の生き残りのために、捕えた敵兵を殺すべきだと主張する部下(エドワード・バーンズ好演)に、それまで謎とされてきた小隊長の過去がついに明かされる。
「オレは英文法の教師なんだ。田舎じゃ、いかにもそういう顔をしてるって言われてた。それが今じゃ……オレがいつも(戦場で)考えてるのはな、故郷に帰った時に、ここでのことを女房に誇りをもって伝えられるか、それだけだ」
このセリフが、多くの犠牲のもとに生きながらえたライアン二等兵の、トム・ハンクスの墓前での夫婦の会話につながる。
Ryan:「Tell me I have led a good life.」(私はがんばって生きたかな。)
Wife:「What?」
Ryan:「Tell me I'm a good man」(私はいい人間かな。)
Wife:「You are.」
だから小隊長は死をもって二等兵を救ったけれども、意義ある死を得たという意味では「ミラー大尉救出」でもあったわけ。意義ある人生をすごしているかを、わたしたちに問う映画なのでした。うー泣いた。意外な役でヴィン・ディーゼルも出ています。ぜひ。