タイトルはENGINEの当て字。ぜったいに変換できない(ATOKでも)題名を使用するあたりが矢作のネットに対する態度でしょうか(T_T)。
スタイリッシュなハードボイルドが真骨頂だった矢作俊彦が、大藪春彦のパスティーシュという形で(前文で矢作の恩人T.K.氏が大藪をめざしなさいと彼に告げたのが本当のことだったかはわからない)むきだしのセックス描写に挑む。
「彼は反転し、押し倒し、脚を高く抱え上げた。膝を曲げ、腿を腹に押しつけ、まるで一冊の本のように彼女を二つに開いた。自分を栞代わりに、そこへ挟み込んだ。
本が彼を締め上げた。それは彼女の一部だった。しかし全体でもあった。
彼は激しく上り詰めた。白い頁がはらわたを食いちぎり、破れ目から自分がどっと流れ出した」
……やっぱりどうしても矢作調美文になっちゃう(笑)。
スーパーウーマンである兇手、タイトルにもなっているエンジンがあまりに魅力的なので、エンディングには少し不満も。
ENGINEというクルマ雑誌にENGINEというタイトルで連載するおしゃれさは、二度使うのは野暮というもの、という矢作の薄ら笑いも感じるけれど、スズキさんはもっと長い連載を期待していたと思うな。
Nシステムに絶対にひっかからない方法をクルマ雑誌でかますあたりの邪悪さはさすが。にしても簡単なんですねー。
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エンジン/ENGINE 価格:¥ 1,680(税込) 発売日:2011-05-31 |